【40代、50代・上手に怒ってストレス減!】「怒れない人」のためのアンガーマネジメントって?上手に怒る7つの処方箋
こんなとき…あなたならどうする?
ここでは、モヤモヤしそうなよくある7つのケースを想定。こんなときの解釈や心の持ちよう、上手な対処の方法を紹介しよう。 「そのポイントは、『なぜ相手はそう考えるのか』『なぜ自分はそう考えるのか』の両方を考えることです。相手が正しいか間違っているかは問題ではありません。どのようにその場を対処するかの選択肢のひとつとして見てください」 《ケース1 人と比較された》 叱るにも褒めるにも、すぐに人と比べて、「〇〇さんはこうなのに」といった表現をする人がいる。 「そんなときは、心の中で『自分は自分、他人は他人』と唱えましょう。あなた自身も比較ではない判断基準を持つといいでしょう。 比較には『絶対的な比較』と『相対的な比較』があります。100点満点のテストで100点に対して何点とれたかは『絶対的比較』、Aさんが90点に対して、自分は70点だったと比べるのは『相対的比較』です。 日常的に行われている多くは『相対的比較』です。誰かや何かと比べられたとしても、あなたの価値が変わるわけではありません。あなたの価値をわかっているのはあなた自身なのです」 《ケース2 頑張っているのに認められず否定された》 どんなときにも、まず否定する人がいる。たぶんそれは癖のようなもの。特に、自分は頑張っていたつもりなのに、その成果が評価されないのは悲しいものだ。 「そんなときは、『できているところはありますか?』とたずねてみてはどうでしょう? なんでも否定から入る人は、他人の欠点ばかりが目につく人です。 それに引きずられずに、減点主義ではなく、加点主義への切り替えが必要です。こうして自分自身の意識を変えることで、人の否定的な意見も上手に聞き流せるようになるかもしれません」 《ケース3 決めつけられた》 「あなたって〇〇だよね」と決めつけて評価をする人がいる。それは自分のほんの一部であり、それが全部であるかのように言われるとカチンとくる。 「ほんの少しでも当てはまるのであれば、『そういう部分もありますね』と、それはあくまで『部分的』であることを強調して伝えます。 世の中には白黒をはっきりさせたい人がいますが、そんな人は怒りを生みやすい傾向があります。実際にはグレーや曖昧さのほうが多いものです。それを理解しておくと、こんな場面でも無駄に怒らずに、上手に対処する第一歩になるでしょう」 《ケース4 論点をずらされた》 さまざまな話をしていると、いつの間にか論点をずらされることがある。 「そんな人の心理は『このままでは自分が不利になる』とわかっているのです。この場合は『今の発言は論点がずれていますよ』とやんわりと指摘します。相手がどのような反応をしても、話を元に戻さない限り、その話をこれ以上進めないのが得策です」 《ケース5 話を遮られた》 自分が話しているのに、突然それとは関係のない話を始める人がいる。話の腰を折られることもモヤモヤの原因のひとつ。 「相手も話したいのだろうから、そこを考慮して『まずは、最後まで話してもいい?』と言ってはどうでしょうか。『まずは』と前置きをすることで、その後に相手の話も聞くつもりであることが伝えられるでしょう。 ほかには、その時点で会話をやめてしまう方法もあります。これは拒絶の表現で、『話はお互いのキャッチボールである』というルールを相手に示す行為です。一方でこの際、聞き上手に徹する方法も。実はこの聞き上手のほうが人気者になることが多いのです」 これも自分に合った方法で対処するのがいいかもしれない。 《ケース6 約束を破られた》 「〇〇までにこれをする」といった小さな約束を守らない人から、重要な約束をすっぽかす人まで、約束を破る程度はさまざまだ。 「そんなときのクレームには、『私はあなたが約束を破ったことが悲しい、こんなにつらかった』というように、私を主語にして伝えます。あなたを主語にしてしまうと、『あなたはどうして約束を守れないの?』という、責める表現になりがちに。これでは、売り言葉に買い言葉になりかねません。 もうひとつの対処法としては、平気で約束を破る人とはそもそも約束をしない。少し距離を置いて付き合うことも選択肢のひとつです」 《ケース7 嫌なことを押しつけられた》 「怒れない人」はとかくNOと言えない人が多いのではないだろうか? 一度、なんとなく流れで受けてしまうと、そのあとも押しつけられることがある。 「ただNOと言うのでは角が立つので、『それはできないけれど、ほかにできることがあれば協力します』と、相手に気遣う言葉を加えるのがポイントです。 また視点を変えて、この嫌なことの苦痛レベルは10段階のどこなのか? と考えてみます。するとこの程度ならなんてことはないと感じて、押しつけられた感をやわらげることができるかもしれません」 「怒れない人」もこうした言い方や対処法を参考にして、モヤモヤ気分を残さずに、怒りと上手に付き合うことを目指そう。 【教えてくれたのは】 安藤俊介さん アンガーマネジメントコンサルタント。一般社団法人日本アンガーマネジメント協会代表理事。新潟産業大学客員教授。怒りの感情と上手に付き合う理論と技術をアメリカから導入。教育現場から企業まで幅広く講演、研修、セミナー、コーチングなどを行う。ナショナルアンガーマネジメント協会では世界で15名しか選ばれていない最高ランクのトレーニングプロフェッショナルの唯一のアジア人。『[図解]アンガーマネジメント超入門 怒りが消える心のトレーニング』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など著書多数。 イラスト/カケハタリョウ 取材・原文/山村浩子