ドン・ファン死亡時の感情は「無」と元妻 「目先の利益派なので…」
「紀州のドン・ファン」と呼ばれた和歌山県田辺市の資産家、野崎幸助さん(当時77)を急性覚醒剤中毒にさせて殺害したとして、殺人などの罪に問われた元妻の須藤早貴被告(28)の裁判員裁判は15日、和歌山地裁で被告人質問の3日目があった。 この日は検察側、弁護側に続いて裁判員も須藤被告に直接質問。被告は、覚醒剤を自宅で見たことはなく、野崎さんの遺産と月100万円もらえることとどちらが大事か問われると「目先の利益派なので、月100万円」と述べ、「遺産目当て」とする検察側の主張を否定した。 これまでの裁判で、須藤被告は野崎さんから覚醒剤を買ってくるように頼まれたと主張している。15日の被告人質問で、検察側からなぜ断らなかったのか問われると、須藤被告は「私が使うわけではない。(買う)お金がもらえれば(いい)」と述べた。 野崎さんが急性覚醒剤中毒で死亡したことは「ニュースで知った」。買った覚醒剤は「本物だったのかなと思いました」と話した。 野崎さんが亡くなった時の感情を問われると「どちらかというと『無』。死体を見たのは初めてだからびっくりしました」と供述。一方で、弁護側の質問には「葬式の時に泣きました」と話し、「死に方を考えて欲しかった。このタイミングで死んだせいで、私は何年も人殺し扱い」と話し、殺害したとする起訴内容を否定した。 野崎さんが死亡した翌年に、須藤被告のサングラスなどから覚醒剤が検出されたことについては「1年前に(和歌山の)自宅から検出されているから、いつ付いてもおかしくない」と反論した。 裁判は18日に結審し、12月12日に判決が言い渡される。(伊藤秀樹、周毅愷)
朝日新聞社