【薬剤師に聞く】糖尿病治療のための「経口血糖降下薬」 の種類・特徴・服用時の注意点は?
糖尿病治療の飲み薬にはどのような種類があるのか それぞれの特徴を解説
編集部: 糖尿病の治療薬にはどのようなものがありますか? 増田さん: 主に2型糖尿病治療薬になりますが、以下の薬があります。 ・αグルコシダーゼ阻害薬 ・速効型インスリン分泌促進薬 ・ビグアナイド ・チアゾリジン ・スルホニル尿素薬 ・DPP-4阻害薬 ・SGLT2阻害薬 ・アルドース還元酵素阻害薬 ・インスリン製剤 編集部: たくさん種類がありますね。それぞれの特徴を教えてください。 増田さん: まず「αグルコシダーゼ阻害薬」は、腸の周りに薬が張り付き、体の中に糖が吸収されなくなることで血糖値を下げる効果があります。ちなみにαグルコシダーゼ阻害薬はブドウ糖のみ小腸から吸収させるので、低血糖時は飴ではなくブドウ糖を摂るようにしましょう。 編集部: では次に「速効型インスリン分泌促進薬」について教えてください。 増田さん: 「速効型インスリン分泌促進薬」はインスリンの分泌に関わる膵臓に即時作用して、無理やりインスリンを分泌させる薬です。類似薬に「スルホニル尿素薬」がありますが、これは食事後の血糖値上昇と薬の効果の時間差が起こりやすいので、食前または食後に服用します。 一方「速攻型インスリン分泌促進薬」は、服用するとすぐにインスリンを下げる作用があるため、食事の直前に服用する必要があります。これらの薬は即効性があるものの、膵臓が疲弊することで機能しきれない場合に効果が低くなります。 編集部: 「ビグアナイド系治療薬」はどんな薬でしょうか? 増田さん: 「ビグアナイド系治療薬」は肝臓での糖の生成を抑えながら、筋肉への糖の取り込みを促進させる薬です。 筋力の低下を防ぐので高齢者の転倒リスクを減らすなど、糖尿病疾患以外に対する効能も期待されています。また、投与量の幅も広く使いやすい薬で多くの方に処方されています。 編集部: では次に「チアゾリジン治療薬」について教えてください。 増田さん: 「チアゾリジン治療薬」はビグアナイド系治療薬の効果に加えて、脂肪細胞のインスリンの効き目をよくする(インスリン抵抗性改善)作用があります。 脂肪やインスリン受容体の抗体に邪魔されると、インスリンが効果を発揮しないので、チアゾリジン治療薬で邪魔者を取り除いてインスリンの効きをよくします。 編集部: 「DPP-4阻害薬」はどのような薬ですか? 増田さん: 「DPP-4阻害薬」は食後血糖値が上昇したタイミングでインスリンを作るのを助ける薬です。低血糖のリスクが少ない一方、食後に忘れず使用する必要になります。 編集部: 次に「SGLT2阻害薬」について教えてください。 増田さん: 「SGLT2阻害薬」は、余分な糖分を尿から出す薬です。SGLT2阻害薬を飲んで24時間でだいたい80g(約320kcal)も排泄されます。また最近では腎臓の機能を保護する作用も分かってきており、腎機能が落ちている方に処方されることも稀にあります。 編集部: 最後に「アルドース還元酵素阻害薬」はどんな薬ですか? 増田さん: 「アルドース還元酵素阻害薬」は糖尿病で起こる合併症を減らす効果が期待できる薬です。アルドース還元酵素とは、余分な糖を別の形に変換する酵素です。 これにより体内のブドウ糖がソルビトールという糖に変換されますが、ソルビトールは神経細胞内に蓄積すると、手足のしびれや傷み、足のつりなどの神経障害が現れる原因となります。そのため、ソルビトールができる前に「アルドース還元酵素阻害薬」を服用します。