BitGo、USDSコインでステーブルコイン市場に参入──流動性提供者には報酬
ビットゴー(BitGo) は、シンガポールで開催された トークン2049(Token2049)において、米ドルに裏付けされたステーブルコインを来年導入する予定であり、ネットワークへの流動性提供者に報酬を渡すことで競争の激しい市場で差別化を図ると発表した。 USDS と呼ばれるこのステーブルコインは、市場の他のステーブルコインと同様に、短期国債、オーバーナイトレポ、現金に裏付けられる。また、同社によると「初のオープン参加型ステーブルコイン」ととなる。 「USDS をローンチする主な理由は、既存のステーブルコインは優れた機能を果たしているが、イノベーションを促進し、また最も重要なこととして、ネットワークを構築する人々に報いる、よりオープンで公正なシステムを作り上げる機会を見出しているからだ」と同社CEOのマイク・ベルシェ(Mike Belshe)氏は Token2049 での基調講演の前に CoinDesk とのインタビューで発言した。「ステーブルコインの真の価値は、それを使用する人々、それらが提供する流動性、および交換のためのアクセスポイントから生じる。」 ステーブルコインは、価格を安定させるために、法定通貨や金など別の資産クラスに価値が固定されているタイプの暗号資産(仮想通貨)だ。これらは暗号資産取引で広く用いられており、分散型金融 (DeFi) の流動性のほとんどを提供している。
既存のステーブルコイン
最大のステーブルコインは米ドルに連動している。この市場はテザー(USDT)が支配しており、時価総額は約1190億ドル(約16.6兆円、1ドル=140円換算)だ。次点はサークル(Circle)の発行するUSDコイン(USDC)で、テザーの約 3 分の1の規模となっている。 ビットゴーのサービスは、報酬に基づいたアプローチで競合他社とは異なる。このアプローチでは、USDS ネットワークへの流動性提供者に、準備金から得られる収益の一部を分配することでインセンティブを与える。 「毎月末に、基礎となるファンドに保管されている現金からいくらかの収益を生み出し、資産の保管状況に基づいて、参加者に比例配分で還元する」とベルシェ氏は述べた。 これは配当に非常に近いため、この事業全体を投資契約に分類しているように聞こえるかもしれないが、ベルシェ氏は、収益をエンドユーザーに分配するのではなく、流動性を提供する者に分配するという点が違いだと述べている。 他のステーブルコインは、利回りのあるステーブルコインを作成し、エンドユーザーに報酬を与えようとしてきた。しかし、妥協案として、利用可能な市場から米国を除外する必要があった。 「結局は、米国市場のみを選択する人々と、マウンテン・プロトコル(Mountain Protocol)やドバイのリフト・ダラー(Lift Dollar)のように米国以外の市場のみを選択する人々のいずれかになる。これらは証券であるため、米国では販売できない」と同氏は述べた。 ビットゴーはUSDSをすべての主要取引所に上場することを計画しており、来年の今頃までにはこのステーブルコイン内に保有される資産を100億ドル(約1.4兆円)にすることを目標に据えている。 |翻訳・編集:T.Minamoto|画像:Amitoj Singh/CoinDesk|原文:BitGo to Enter Stablecoin Market With Reward-Bearing USDS Coin
CoinDesk Japan 編集部