「空に舞う黄色のぼんぼり」ミツマタの花咲く森へ!
思いもよらない寒の戻りで桜の開花は昨年より遅れている。一気に暖かくなって桜前線が北上する前に「桜もいいけど、ちょっと変わったお花見をしたい」そう思った筆者は、家族を連れて“黄色い妖精が舞う”森へ再び出かけてみた。シトシトと降り続ける霧雨の中、薄暗い森の中を歩いて歩いて……。春の歩き初めにぴったりなミツマタの小径を紹介したい。 ◆【画像】「桜の前に楽しめる」圧倒されるほどの黄色い世界! 各地のミツマタの名所(写真7枚)
■深山に輝く光の奔流! “屋敷山”群馬県桐生市
春を告げる花として知られているミツマタは和紙の原料の一つだ。三叉(みつまた)に分かれた枝先に花をつけることが名前の由来になっていて、満開になると丸いポンポンとした黄色の玉になる。薄暗い森の中に浮かぶように咲く姿は圧巻である。 山間をいく県道337号線は、対向車が来るとかなり気を使う狭路だが、「屋敷山」に近づくにつれて山肌や民家の庭先にミツマタの姿がちらほら見える。峠の途中にある「根本山」登山口駐車場が、屋敷山ミツマタ群生地の駐車場も兼ねている。看板があるのでわかりやすい。 屋敷山群生地までは舗装された県道を歩いていくので、スニーカーでも充分だ。少々の雨でも傘が使えるので気楽に行ける散歩道という感じである。屋敷山自体がミツマタの群生地らしく、歩き始めるとすぐに薄暗い林の中にほんわりとミツマタの姿を見ることができた。 県道の緩いカーブを過ぎると甘い香りが辺りに漂っていた。曇り空の下、林全体が光を放っているかのような見事な大群落がそこに待っていた。遊歩道も丁寧に整備され、ミツマタのお花畑に包まれるように歩くことができる。圧巻の光景をぜひ目撃してほしい。
■お花の山で参拝&ハイキング! “滋賀県多賀町”
滋賀県多賀町「多賀大社」にほど近い里山にあるミツマタ群生地。山の手入れが進み、ミツマタの生育環境が整い見事な大群落を形成している。しっとりとした佇まいの多賀大社で参拝をすませ、国道306号線を「亀山いなべ」方面へ行くと臨時駐車場の看板が見えてくる。周りは長閑な里山の雰囲気で靴はスニーカーでも大丈夫だが、長靴や登山靴があると便利だ。 入り口には協力金お願いのポストがあるので現金を忘れずに。協力金は1人200円だ。林道を歩き始めるとすぐにミツマタの姿が見えてくる。ミツマタの群生地がある山はよく整備されている。適度な日当たりがある針葉樹林の合間に花々が咲いている。昔の人は人と山の距離感が程よい場所にミツマタを植え、紙の原料としていたのだろう。そう思うと、多賀大社の古い町並みからこの群生地まで一つのトレイルで繋がっているようだ。 山の斜面に咲くミツマタの花々はまるで波のようで、光のうねりのようにも見える。歩きやすい林道は色々な角度から花を眺めることができるので、思い出に残る1枚を撮れる場所を探して歩き回ってみてはいかがだろうか。このコースは往復でも2時間程度で、近くには古い町並みと多賀大社、さらに“アケボノゾウの発掘プロジェクト”を展示している「多賀町立博物館」などがある。お花見ハイクと一緒に立ち寄ってみるのもいい。