河合優実&吉田美月喜、大注目若手の2人が追う“背中”とは 俳優としての展望も語る
■お互いの演技から受けた刺激「声優経験、本当に初めて?」
――お2人にとっても、運命的な配役になった気がしますね。今回、お2人は初めて声優を務められましたが、特別に準備したことはありますか。 吉田:オーディションの前にボイスサンプルを送っていたんですが、そのボイスサンプルと、実際にオーディションで発した声が全然違ったようで、スタッフの方から「あまり練習をしないでほしい」と言われて。私は同じように演じたつもりだったので、かなり混乱しました(苦笑)。感情を作り込みすぎず、まっさらな気持ちで臨むことを求められていたのかもしれません。 ただ京本役は秋田弁を話す必要があるので、方言についてはしっかりと準備しなければならないと思い、ひたすら秋田弁の練習をしていました。実際の収録では2日間をかけてアフレコをしましたが、最初は藤野のシーンだけだったので、私は優実ちゃんのお芝居を端っこの方で見ていたんです。そうしたら初めからものすごく上手で! 「初めてなんて嘘だ!」と思いました(笑)。どうしよう……とガチガチに緊張していました。 河合:私も京本の声を聴いた時に、「美月喜ちゃん、声優経験あるでしょう!」って思った! 初めてだって、嘘をついている(笑)? 吉田:ついてないよ(笑)! 優実ちゃんと一緒に録っていると、どんどんキャラクターに命が吹き込まれていくという実感を持つことができて。まるで目の前に、藤野と京本が現れたような感覚になりました。自分自身も心を動かされたり、自然と涙が出てきてしまうシーンもありました。 ――お互いに、いい刺激を受け合いながらアフレコができたのですね。 河合:美月喜ちゃんの京本はとてもステキで、たくさんの刺激を受けました。同じ世界にいる2人を同じ空間で演じることができたので、とてもうれしかったです。自分としては、試行錯誤の繰り返しでした。ただ声優経験のない私を求めていただけたということには、きっと理由があるのだろうなと。生っぽさという言葉が正しいかはわからないですが、キャラクターからイメージする感情だけを持って、その時に藤野が感じているであろうことを、誠実に声として出していこうと思って演じていました。 アニメーションを見ながらアフレコに臨んだんですが、それが本当にすばらしくて! 実写のお芝居の場合は、キャラクターの実存をゼロから自分で体現していくことになりますが、今回はアニメに描かれた藤野の身体がすでにたくさんのことを担ってくれていて、私が想像していたものとはまた別の命がそこに生まれていました。動いている藤野がまるで自分の分身のように感じて、この子に添える声を出していこうという感覚になって。それは初めての経験で、とても不思議な感覚でした。