現役Jリーガーが社長に「流産が起業のきっかけに」FC町田ゼルビア・鈴木準弥「つらい経験をしてもなお」
FC町田ゼルビア・鈴木準弥選手は、サッカースクールのほか、流産や死産、不妊治療、障がいを持つ方、保護犬への支援などを目的とした会社を立ち上げました。起業にはご自身の経験はもとより、死産を経験した幼馴染の妹さんやダウン症のいとこ、愛犬の存在など、さまざまな背景があったようです。設立の経緯と活動内容を伺いました。(全4回中の3回) 【画像】ワンちゃんも鈴木選手もかわいい!愛犬との2ショットやサッカー少年だった幼少期の写真、昨年末に挙式したファミリーウェディングの様子など(全14枚)
■妹のようにかわいがっていた幼馴染も死産を経験 ── 会社設立の経緯を聞かせてください。
鈴木さん:22歳で流産を経験した当時は「自分たちだけがなんで?」という感情を抱いていました。でも、幼馴染でサッカー選手でもある鈴木拳士郎の妹さん、僕も本当の妹のようにかわいがってたんですが、彼女も1人目は無事に出産したものの、2人目を出産予定日の1週間前ぐらいに死産してしまって。お腹を痛めて亡くなってる子を出産したという話を聞いて、すごくびっくりしたんです。 拳士郎の妹は保育士だったんで、お腹が大きくなるまで働いて、産休をもらって出産に臨んだんです。子どもたちも保護者もお腹が大きい姿を見てたから、死産のあと保育園へ行ったときに「先生、赤ちゃんどうだった?」って子どもや保護者から聞かれたけど、それが「めちゃくちゃつらかった」と言っていて。死産した人は悲しい経験を経て、なおかつ社会に復帰するときにまた壁があるんだということを、その話で初めて知りました。
不妊に関しても、結婚したら当たり前のように子どもができるものだと思っていたんです。でも、奥さんのいとこが不妊治療をしたけど授からず、旦那さんと2人で生きていくことにしたって聞いて。欲しくてもできない人がいるって知ったときに、もしかしたら僕も、何げないひと言で人を傷つけてきた可能性があったのかなって。結婚して数年経って子どもがいない人たちに「子どもはー?」って深く考えずに聞いていたんだとしたら、かなりの言葉だったのかもしれないなと思い返すようになりました。