大森時生プロデュース「フィクショナル」劇場公開、酒井善三の前作「カウンセラー」も
「TXQ FICTION/イシナガキクエを探しています」で知られるテレビ東京の大森時生がプロデュースを担ったドラマ「フィクショナル」が、11月15日より劇場公開されるとわかった。あわせて同作の監督を務めた酒井善三の前作「カウンセラー」もスクリーンにかけられる。 【画像】「フィクショナル」とあわせて上映される「カウンセラー」ポスタービジュアル ショートドラマ配信アプリBUMPで配信された「フィクショナル」では、憧れの先輩と偶然再会し共同生活を始めた青年・神保の姿が描かれる。清水尚弥が先輩に振り回される神保役、木村文が秘密を抱えた先輩役で出演した。 本作を鑑賞したマンガ家の浅野いにおは「これは架空の物語ですが、確信を持って描かれる示唆的なラストに、自我を見失いつつある現代社会の縮図を感じました」と、小説家の背筋は「虚実ない交ぜのこの世界。もしかしたら私たちは、情報に溺れたままのほうが幸せなのかもしれません。人がおかしくなってしまうのは、疑うことに気づいたときですから」とつづった。小説家・高瀬隼子、「ゾゾゾ」「フェイクドキュメンタリー『Q』」を手がけた皆口大地からもコメントが到着している。 2021年に製作された「カウンセラー」の主人公は、妊娠6カ月目で産休前最後の出勤だった心理カウンセラーの倉田真美。彼女は突如現れた相談者・吉高アケミの「妖怪が見えるんです」という話を聞き、奇妙な不安感に飲み込まれていく。鈴木睦海が倉田、西山真来がアケミを演じた。本作に映画監督の黒沢清、清水崇が寄せたコメントを以下に掲載している。 酒井は今回の上映に「『フィクショナル』と『カウンセラー』は予算も人手も制作環境も違いますが、どちらも不安という感情をベースとした娯楽作品です。楽しんでいただけたら幸いです」と語り、大森は「僕は『不安』が好きです。併せてご覧いただくことで、より不安になれると思います」と呼びかけた。 「フィクショナル」「カウンセラー」は、東京・シモキタ - エキマエ - シネマ「K2」、新文芸坐ほかで上映される。 ■ 「フィクショナル」コメント □ 浅野いにお(マンガ家) これは架空の物語ですが、確信を持って描かれる示唆的なラストに、自我を見失いつつある現代社会の縮図を感じました。混沌と不安、そしてやり場のない怒り。これは明日の自分の姿なのかもしれない。 □ 背筋(小説家) 虚実ない交ぜのこの世界。もしかしたら私たちは、情報に溺れたままのほうが幸せなのかもしれません。人がおかしくなってしまうのは、疑うことに気づいたときですから。 そのことに気づいた私は、もうおかしいのかもしれませんが。 □ 高瀬隼子(小説家) 自分の目で見て、耳で聞いて、頭で考える、その先にある「信じる」が驚くほど遠い。こんなに難しかったんだっけ、と頭を抱えている…この頭も本物だろうか?と疑ってしまう。根底からぐらぐらと不安定になる、じっくり見つめてほしい作品。 □ 皆口大地 この時代にまた一つとても危険な作品が生まれてしまった。ヒリヒリと皮膚を刺す様な穏やかな緊張感を終始張り巡らせ、この作品は優しくしかし確かに現実を蝕んでいく。 ■ 「カウンセラー」コメント □ 黒沢清(映画監督) 40分ちょっとの中編だが、 これは凄い! 近年最も不気味な映画と言っていいだろう。 全ての画面に恐怖と錯乱が張り付き、見ているこっちまで気が変になりそうだ。 □ 清水崇(映画監督) かなり久々に“ヤバいもの”を観てしまった…… 脚本、構成、場所、キャスト、間合い、画、音響、全てに不安が張り詰め、 薄気味悪い空気が満ち満ちてくる── かなり久々に“ヤバいもの”を観てしまっ…あれ? ……気がしただけ? ……マズい、憑り込まれる。 酒井善三監督、、、、凄い才能だ! ぎっちり憑り組まれた長編が観たい。 (c)テレビ東京