地元出身の萬田久子テープカット 大阪のクレオパトラ展
地元出身の萬田久子テープカット 大阪のクレオパトラ展 THEAPGE大阪
エジプト史のなかで重要な役割を果たしたクレオパトラなどの女王や王妃に焦点を当てた「クレオパトラと王妃展」が、大阪の中之島にある「国立国際美術館」(大阪市北区)で10日から始まった。世界14か国、181件の至宝を集め、当時の並外れた人生を送った彼女たちの実像に迫る展覧会だ。それに先駆けて9日、報道関係者内覧会が行われ、展示品が披露されたほか、ゲストに女優の萬田久子が来場して華を添えた。萬田は「さきほど会場を見て感動しました。20何年か前にエジプトに1週間ぐらい滞在しました。その時の迫力が甦りました」などと述べ、主催者らとテープカットで開催を祝った。この大阪展は12月27日まで。
クレオパトラと王妃にしぼった展覧会は非常に珍しい
クレオパトラに代表される古代エジプトの女王や王妃は、豪華でロマンチックな印象だけに、映画などでも美しく表現されることが多く、ファンは幅広いようだ。同館スタッフは展覧会の魅力をこう話す。 「これまでも関連するイベントはありましたが、クレオパトラと王妃にしぼったものは非常に珍しいですよ。古代エジプトへの旅が広がります」 悲劇の女王として有名なエジプト最後の女王クレオパトラ(クレオパトラ7世)だけでなく、絶対的女王として君臨したハトシェプスト、少年王ツタンカーメンの祖母・ティイ、アマルナ時代を代表する王妃ネフェルトイティなど、魅力あふれる女性たちの実像に触れることができ、関連した作品がずらりと並ぶ。それらはルーヴル美術館、大英博物館、ボストン美術館、ウイーン美術史美術館など世界14か国の美術館、博物館を中心に、約40の所蔵先から集められた貴重な品々だ。
真の姿はベールに包まれているクレオパトラ
早稲田大学文学学術院教授、同大学エジプト学研究所所長の近藤二郎氏は「多くの作品から当時の生活や謎に満ちた人物の実像がわかる」としている。 鼻のかけた顔の「クレオパトラ」(トリノ古代博物館蔵)、全身の「クレオパトラ」(メトロポリタン美術館蔵)、「王妃ハトシェプスト」(ボストン美術館蔵)をはじめ、すべて写真集に収められてもいる。 真の姿はベールに包まれているクレオパトラだが、その実像について、ルーヴル美術館古代エジプト美術部名誉部長のクリスティアーヌ・ジェグレール氏は通訳を通じてこう説明した。 「エジプトのお墓には、その実物(像)は記録されない。クレオパトラについては、ローマ時代に書かれたものです。当時、エジプトは地中海で繁栄している国で、ローマ人たちはエジプトを何としても植民地化したかった。クレオパトラはエジプトを救うために(ローマ帝国の)アントニウスなどと関係を結んだ。やがて戦争を起こしてエジプトはほろぶ。戦争に負けたことでクレオパトラも自殺する。物語を書いたのは、ローマ人。ローマの繁栄がベースにクレオパトラの物語をつくったので、ローマ人はクレオパトラを男性をまどわす美しい、権力の好きな女性としてつくった。クレオパトラはローマにとって敵であり、どうしても悪女として描かれている」
萬田「圧倒されましたし、感動しました」
古代の歴史家によると、クレオパトラの美貌は特別なものではなかったという。また、大阪出身の萬田はNHK連続テレビ小説「あさが来た」で老舗両替屋の女将を熱演。古代エジプトの王妃のように、幕末から明治時代を強く生き抜いた女性を演じており、今回のゲストとして迎えられたようだ。 会場を見て回った萬田は、感想を求められて、「圧倒されましたし、感動しました。20何年か前にエジプトに1週間ぐらい滞在しました。その時の迫力が甦りました。今回呼んで頂いてとても光栄です」と語った。 (文責/フリーライター・北代靖典)