ミセスグリーンアップルの曲に乗せてダウン症の中條朝佳さんが踊る「涙が出るほど人を魅了する」ダンス
国際ダンスコンペで2連覇
福岡市で3月28、29日に開かれた第8回九州国際ダンスコンペティション(KIDC)のバリアフリー部門ソロシニアで、ダウン症の中條朝佳(ともか)さん(20)=大阪市=が2年連続の1位に輝いた。全国から出場した7人で競い、審査員に「涙が出るほど人を魅了する力がある」と評価された。 【写真】昨年、初出場で1位となった中條朝佳さん 中條さんは「未来へ」と題し、約4分間のコンテンポラリーダンスを披露。人気ロックバンド・ミセスグリーンアップルの曲「僕のこと」に乗せて、自分で考えた振り付けや、聴覚障害のあるダンサーに習った手話で踊った。「ああ なんて素敵な日だ」という歌詞は手足を伸ばして表現。側転をしたり、足を高く上げたりとアクロバティックな要素も取り入れた。 中條さんの母充代さん(54)は「エネルギッシュで生命力を感じさせる内容でした。仕上がりに納得できず、直前は泣きながら練習していました」。KIDC実行委員会の井上瑞希代表は「彼女のファンは多く、2連覇を喜んでいた」と話す。 8歳ごろにダンスを始めた中條さん。現在はダウン症の人向けのダンススクール、障害のある人のブレイクダンス教室、バレエ教室に通う。大会直前はスタジオを借りて自主練習もする。昨年11月には、兄が住む米国ロサンゼルスでレッスンを受けた。普段は障害者の就労継続支援B型事業所に通い、カフェで働くほか軽作業もしている。 昨年のKIDCは、コンテスト初出場で1位となった。今年3月20日に兵庫県芦屋市で催されたダンスワールドカップ日韓大会でも1位となり、6~7月にチェコで開かれる世界大会に出場するという。 (野津原広中)
西日本新聞