【高齢親のかかりつけ病院の探し方】どんな観点で探すべき?経験者が語る「外せないポイント」
ミドルエイジが直面する介護やお金の問題について、介護の専門家でFP資格を持つ渋澤和世が、皆さんのお悩みにお答えします。今回は、以前紹介したかかりつけ医の選び方についての記事が参考になったものの、高齢の親によりマッチした病院を探したいという優子さん。話を聞いてみましょう。
親が頼れる病院はどう探すべき?
先日、これまで病気とは無縁だった両親が、骨折や高血圧で立て続けに入院しました。父は75歳、母は74歳になりますが、後期高齢者への入り口である75歳というのは、やはりひとつの壁なんだと実感しました。 幸い今回は短期間で退院できましたが、今後はもっと重い病気にかかるかもしれません。もしかしたら、いきなり介護が始まるということも想定しておかなければならないのかもしれません。両親は老人ホームに入るのは嫌がっていて、何かあったらお互い支え合い、何とか最期の時まで自宅で暮らしたいと言っています。 今の時点では、何かあった時に頼れる先は近所のクリニックぐらいしかないと言います。そのクリニックには入院設備がありませんし、今後訪れるかもしれない在宅介護も念頭に、両親を任せられる病院を探しておいた方がいいのかもと思うようになりました。 ひたすらネットの口コミを見て判断する以外に、高齢の親がかかりつけの病院を探す良い方法はあるのでしょうか。
70歳頃からかかりつけ病院の検討を
以前の記事では、高齢になったら「かかりつけ医」ではなく「かかりつけ病院」を持つことを提案しました。たとえば在宅介護をしていると、急な体調変化があった時に駆け付けられて、何かあったらすぐに入院できるかかりつけ病院は強い味方です。 かかりつけ病院は70歳頃から検討すると良いですが、健康であれば、後期高齢者になる75歳をきっかけに考えても良いかもしれません(とは言え、本当に健康であれば、病院にお世話になる機会がないかもしれませんが……)。 75歳という年齢は、脳血管疾患や肺炎、認知症、転倒骨折などが一気に増える頃。脳血管疾患は男性70代、女性80代に多く、高齢者に多い誤嚥性肺炎は80歳を超えると多発します。また、アルツハイマー型認知症は75歳過ぎから急激に増加し、骨折の中でも大事に至る大腿骨骨折は80歳以降に多く見られます。 基礎疾患に高血圧と糖尿病のある方はすでに病院にお世話になっていると思いますが、かかりつけ病院は必須です。理由としては、高血圧は心疾患と脳血管疾患のリスクがあり、糖尿病は神経障害や網膜症、腎不全、動脈硬化、脳卒中、心筋梗塞などの合併症を起こしやすいから。高血圧と糖尿病の人は入院リスクも高いので、入院設備のない診療所より病院の方が安心です。