映画館に再び活気? 『アナと雪の女王』が与える影響
■久しぶりに映画館に来た ディズニーの映画「アナと雪の女王」が大ヒットを記録している。3月の劇場公開以来、興行収入はすでに150億円を超えており、ゴールデンウイークが終わっても勢いが衰えない。来場者で目立つのは「久しぶりに映画館に来た」という人たちだ。近年は動画配信が発達し、映画館は押され気味だったが、「アナと雪の女王」の登場が人々を劇場に引き戻すきっかけとなっている。その数は数百万人規模との指摘もあり、今後の映画人口の拡大にも寄与しそうだ。 <動画>姉妹の愛情の深さに心温まる『アナと雪の女王』
配給会社の発表によると、『アナと雪の女王』はゴールデンウィーク、5月5日の1日だけで興行収入約7億円を記録。通常、公開直後をピークに下降していくのが通例だが、ゴールデンウィークだったとはいえ、公開53日目で約7億円の興行収入は驚異的と言えるだろう。5月6日までの累計動員は1265万1168名、興行収入は159億3691万0450円となっている。 ■映画鑑賞者は年に1~2本のライト層が半数以上 映画マーケティング・分析会社「GEM Partners」(東京都渋谷区)によると、年に1本以上映画をみる「映画鑑賞者人口」は、日本には3000~4000万人いるという。この映画鑑賞者を、映画をみている本数ごとに分類すると、「年に1~2本」の人は51%で、いわゆるこのライト層が半数以上を占める。次いで「3~5本」の人が30%。「6~11本」「12本以上」みるヘビーユーザーはそれぞれ1割前後に過ぎず、少数派だ。 『アナと雪の女王』を観たい、と考える人たちの傾向について、GEM Partners社は、この映画公開の12週間前から1週間ごとの推移を調べた。すると、公開1か月前には、「観たい」と考えている人のうち「年に1~2本」しか映画をみていないライト層は、全体のわずか1割程度に過ぎず、興味を持つのは少数派のヘビーユーザー層が大半だった。 ■数百万人を掘り起こしている可能性も ところが、映画が公開されると、マスコミの紹介や口コミの評判が広まり、「年に1~2本」のライト層の関心が日を追うごとに高まっていく。公開3週後の時点でライト層は約3割に到達。公開第7週後でも34%を占めている。GEM Partners代表の梅津文さんは「普段はあまり映画をみない層が劇場に足を運んでいる。すでに数百万人を掘り起こしている可能性があり、これから映画業界に大きな貢献をもたらすのではないか」と分析する。