「S&P10」はS&P500より儲かるか、20年検証で「えっこんなもん?」銘柄絞り込み系投信の試算に驚き
■S&P30で5割以上 「花形銘柄である『米国トップ10』の時価総額は、S&P500の時価総額の4割弱を占めています。S&P500を保有していても、米国トップ10の恩恵を十分に受けられるわけです。なおS&P500の上位30銘柄でS&P500全体の5割以上を占めてしまいます」 米国トップ10やナスダック100は業種が偏りすぎている。情報通信関連が総コケするとキツい。 「S&P500もそれは同じですが、しばらくすると宇宙や素材、はたまた新たな有望セクターが上位に来るでしょう。業種が分散されると価格変動リスクが(単一セクターより)抑えられます。10社に分散しても、同じテック株に投資する場合、リスク低減効果はほとんどありません」 最後に、前出の武田さんのコメントが印象的だった。 「銘柄数を絞った投信は、個別株投資に近い側面があります。『個別株だ、10銘柄まとめ買い』などと考えて買うことは否定しませんし、それも投資の一つでしょう。 ただ、リスクに慣れていない初心者を『こっちのほうが利益が出る可能性が高い』と誘導することには違和感があります」 本誌も同意見だ。FANG+や米国トップ10への投資を阻止するわけではないが、初心者には勧められない。いいときはゴキゲンだが、やられたときのダメージは金銭的にも精神的にもつらい。 取材・文/安住拓哉、中島晶子(AERA編集部) 武田成央(たけだ・さだちか)楽天証券 トウシル&メディア編集部編集長。出版社のマネー誌編集者を経て投資情報メディア「トウシル」編集長。トウシルのYouTubeは登録者数30万人突破 小松原宰明(こまつばら・ただあき)イボットソン・アソシエイツ・ジャパンCIO。国内外の運用機関を経て2000年にイボットソン・アソシエイツ・ジャパンを共同設立。金融商品の分析力がすごい 編集/綾小路麗香、伊藤忍 『AERA Money 2024秋冬号』から抜粋
中島晶子,安住拓哉