秋田ノーザンハピネッツ、26年始動のBプレミア参入滑り込み 「ホッとしてます」水野勇気社長
B1秋田ノーザンハピネッツが、26年から始まる新トップカテゴリー「Bリーグ・プレミア(Bプレミア)」の初年度参入に滑り込んだ。26日、Bリーグの臨時ライセンス判定理事会で決まった。参入条件となる入場者数基準、売上高基準の2項目はすでにクリアしていながら、ホームアリーナ基準をクリアするための新県立体育館の整備計画において、入札不調になるなど足踏み。一度は厳しい状況になりながらも諦めずに尽力し、県とブースターの後押しを受け、ライセンス交付をつかみ取った。 【写真】チームを見守る秋田ノーザンハピネッツ・水野社長 Bリーグの発表を顔色一つ変えずに見守っていた水野勇気社長(41)の表情が、一気に和らいだ。秋田市内のクラブ施設内での会見を終えると、同じ建物内で練習を終えた選手たちのもとへ急いだ。「無事、Bプレミアライセンスを取得できました。必ず合格するとは言いましたが…めちゃくちゃホッとしています」と報告。安堵(あんど)を浮かべながら、それでもいきいきとした表情で語った社長の思いに、選手やスタッフも大きな拍手で応えた。 眉一つ動かさず発表を見届け、直後の記者会見で第一声。「本当に多くの皆さまにご協力をいただいた。クラブに関わるすべての皆さまに感謝申し上げたいと思います。本当にありがとうございました」と感謝を述べた。28年秋には、設立当初から熱望した新アリーナが完成する予定だ。「10年、20年、30年と使っていく中で、このアリーナが秋田にあってよかったと言われるように、我々も引き続きクラブとしても成長していけるよう頑張っていきたい」。あらためて、力強く決意表明した。 4次審査で合格したクラブには、25年6月までに正式契約に至らなければいけないという決まりがある。水野社長は「厳密にいうと、まだこの後3月に事業者が決まること、6月までに正式契約を果たさなきゃいけない」とふんどしを締め直した。 11月、水野社長は一度入札不調となる前に「入札は、僕らは見守ることしかできない。決まってくれることを待つのみです」と語っており、まさしく「人事を尽くして天命を待つ」思いでいた。今回も、25年3月の応札を待つ。ただ前回と違って今回は、Bリーグの島田慎二チェアマン(54)も「秋田県は通常では考えられないスピードで蓋然(がいぜん)性を積み上げてきた」と語るほど、前回以上に、クラブだけでなく秋田県全体、秋田県人が人事を尽くしてきた。 異例の早さでこぎつけたライセンス交付。まずは土壌に乗った。あとは芽を育て、花が開くのを待つだけだ。【浜本神威】 ○…Bプレミア参入を決め、水野社長から力強く「この週末、いいゲームをお願いします!」と託され、チームも引き締まった。前田顕蔵ヘッドコーチ(42)は「これは簡単なことじゃなかったと思う。俺らはコートで返そうね」と選手たちを鼓舞。現在、チームは4連敗中。28日からはホームで、同じくこの日にBプレミア参入を決めた大阪エヴェッサを迎え撃つ。年内最後のホーム戦で勝利をつかみ、参入の喜びに花を添える。 ◆Bプレミア Bリーグが経営・強化・社会性を軸に26年からリーグ構造を変革する「B.革新」における新トップカテゴリー。競技成績による昇降格制度を廃止し、開幕以降毎年行われる審査で「平均入場者数4000人以上」「売上高12億円以上」「5000席以上など新基準を満たしたアリーナ」といった条件をクリアしたクラブが参入する。サラリーキャップ制度やドラフトの導入による戦力均衡などで、より迫力のある試合、魅力あるリーグを目指す。