夢かなえる論理的思考 大谷翔平が高校時代使用の「目標達成シート」、小学校教科書に採用
ワールドシリーズを制したドジャースの大谷翔平は高校時代、一流のプロ野球選手を目指し「目標達成シート」を作成し、練習に励んだ。大きな夢や目標を達成するため、何にどう取り組むべきか。仏教の「曼荼羅(まんだら)」のような形をしたシートは国の学習指導要領の中心に据えられる「論理的思考」に通じるものがあり、小学校の教科書でも紹介されている。 【写真】ドジャースがリーグ優勝を果たし、愛犬を抱いて笑顔を見せる大谷翔平の妻、真美子さん ■目標を73に細分化 シートは地元・岩手の花巻東高時代、目標達成のために必要なことを書き出したもの。中央に大目標として「ドラフトでプロ野球8球団から1位指名を受ける」を据え、その実現のため「体づくり」「メンタル」「変化球」など8つの中目標を設定した。 それぞれの中目標に対しても「食事 夜7杯 朝3杯」「仲間を思いやる心」「遅く落差のあるカーブ」など、8つの小目標を立てた。やるべきことを計73項目に分けて計画的にこなしていた。 「それぞれの項目が分野に偏りなく細分化されている。自らを分析する能力がすばらしく、野球ではなく別の道に進んでいたとしても大成していただろう」。中央大国際情報学部教授で情報セキュリティーが専門の岡嶋裕史氏(51)は、大谷が作成したシートを絶賛する。 ■「論理的に考える」 全国の小学校では令和2年度から「論理的思考」の習得を目的にコンピューターのプログラミング教育が実施されている。プログラムを一つ一つ組み合わせながら、論理的な思考を育てようとする考え方を岡嶋氏はこう例える。 「『豪華客船の製造』のような壮大な作業であっても、スクリューや客室、果てはネジの一本一本まで細分化していけば問題は単純化され、身近に感じることができる。そこから組み上げていくことで、本来ならなしえなかった巨大なプロジェクトをなしえるはずだ」 国の学習指導要領の中核に据えられる以前から、論理的思考を実践していた大谷。岡嶋氏は「スポーツ選手なら体を鍛えるだけでいいなどと独りよがりになるのではなく、メンタルや倫理観など『善なる部分』も含めて目標を達成するには何が必要なのかについて、若い段階から気付いていたのだろう」と話した。 ■小学5年生へ