開幕ダッシュの勢いはどこへ…Bクラスへ急降下の中日・立浪和義監督が抱える「時限爆弾」
4月上旬、実に2891日ぶりとなる中日ドラゴンズの奪首に、地元・名古屋のメディアは湧いた。 【写真】思わず苦い顔…敗戦後の中日ドラゴンズ・緊張感漂う首脳陣 「今年のドラゴンズは一味違う」 長年ドラゴンズを追ってきた番記者たちからも、そんな声が聞こえてきていた。ロースコアの接戦を次々とモノにする姿は、8年間すべてでAクラス入り、リーグ優勝4回、日本一にも輝いた落合政権下での黄金時代を彷彿とさせた。たしかに強竜復活を想起させるには十分すぎる戦いぶりだったが、番記者の中には、こう訝る者もいた。 「とにかくジッとしていられない立浪和義監督(54)が“動く”のをガマンできるかどうか、でしょうね」 さすがの記者の慧眼というべきか、不安は的中し、わずか1ヵ月で最大6あった貯金を食いつぶし、5月15日時点で借金2の4位へと転落した。 開幕ダッシュの立役者は、補強の目玉であった中田翔(35)、セカンドで躍動する大卒2年目の田中幹也(23)、何よりリーグ最強の投手陣だった。 球団内部でも、2月のキャンプ中から「今季は好スタートを切るに違いない」と予期する声が多かったという。球団関係者がその背景を明かす。 「選手の入れ替えやコーチ陣の配置転換が奏功して、ここ数年ないほどのいい雰囲気でキャンプに入れた。裏方さんも含めて全員が『今年はやるぞ!』という勢いを感じたんです。その流れが21年ぶりのオープン戦首位という結果に繋がり、開幕ダッシュとなったのですが……」 だが、その勢いも長くは続かなかった。スポーツ紙中日番記者が言う。 「立浪さんが“動いた”のが原因でした。大きな分岐点となったのが、ローテーションを崩してエースの柳裕也(30)を中5日でヤクルト戦に起用し、大敗したこと。あの試合で柳だけではなく、他の投手陣の運用にも影響が出た。あそこから、先発陣が打ち込まれる試合が出てくるなど空気が一変しました。大野雄大(35)や梅津晃大(27)ら故障明けの先発投手を抱えるという事情もありますが、先発の感覚が空く投手もいれば、詰めて起用される投手もいたりして、一貫性がなくなった。そして、その理由も明らかにされていないのです」 近年感じられなかった若手の台頭が見られることは、ポジティブな要素である。だがそれゆえに「もどかしさも感じる」と前出の中日番記者が続ける。 「昨季ブレイクした細川成也(25)が主軸となり、石川昂弥(22)も開花の気配を見せている。そこに田中幹也や阪神から獲得した山本泰寛(30)がいぶし銀の活躍をみせ、2年目の村松開人(23)は打撃が開眼――と選手個々には期待感があるのですが、なかなか線として繋がらない。とくに村松は規定打席には足りないものの、打ちまくっているのに左投手が先発の試合ではスタメンを外されるなど、イマイチ監督の信頼を勝ち得ていない。数字を残している村松や石川の使い方はもう少し考えるべきでしょう」 さる球団OBの意見も辛辣だ。 「この2年間にも、クエスチョンがつく采配は度々ありました。ただ、ロクな補強をしない球団に批判が集中し、立浪監督には同情の声が寄せられていました。采配以前の問題だと見逃されていたのです。ところが今季、就任後初めてAクラスを狙える陣営が整ったことで、監督の迷走ぶりが際立つ結果となっている。采配で負けたと思われる試合が序盤ながらすでに何試合もあります。守り勝つ野球を掲げるならセンターラインは固めるべきで、日替わりオーダーもいただけない」 今季の戦いでポイントになりそうな点は何なのか。 「片岡篤史ヘッドコーチ(54)が立浪監督をどれだけ諌められるか。そこに尽きるでしょう。今季ここまで、2軍監督から配置転換された片岡コーチの存在が立浪監督の“安定剤”になっていた面があった。ミスタードラゴンズに意見できるコーチは他におらず、片岡コーチがその役目を担うことで、各コーチは自分の仕事に集中できていた。それが去年までとの最大の違いです。PL学園の同級生であり気心知れた片岡コーチが、立浪監督に必死にブレーキをかけていたわけです。そのバランスが崩れたら、チームはここからさらに急降下する恐れがある。今シーズンのキーマンは間違いなく片岡コーチです」(前出・中日番記者) 今年が契約ラストイヤーとなる立浪監督。盟友の支えを得て、混セのダークホースとなり、「迷将」の評価を「名将」へ変えることができるか!?
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