【陸上】81日で4種目の世界記録を樹立した伝説的ランナー ヘンリー・ロノ氏が72歳で死去
2月15日、男子長距離のヘンリー・ロノ氏(ケニア)が亡くなった。2月12日に72歳の誕生日を迎えたばかりだった。 マラソン世界記録保持者のキプトゥムが交通事故で他界 夢の2時間切りに迫っていた24歳 ロノ氏は1952年生まれ。ケニア・キプタラゴンで生まれ、73年にケニア陸軍に入隊してから本格的に走りはじめ、76年のモントリオール五輪の3000m障害と5000mで代表に選ばれたものの、大会直前にアフリカ諸国の五輪ボイコット運動に巻き込まれて出場を果たせなかった。 しかし、その後、米国・ワシントン州立大のジョン・チャプリン・コーチの紹介で奨学生として渡米。以後は米国を拠点として活動を続ける。 その名が轟いたのは78年。4月8日に5000mで13分08秒4の世界記録を樹立すると、5月8日には3000m障害で8分05秒4と再び世界記録を更新。いずれも独走のなかで誕生した記録で、当時の常識を覆すものだった。 さらに6月11日には10000mで27分22秒4と、人類史上初めて27分30秒切りを達成。2週間後の27日には3000mでも7分32秒1と世界記録を上回り、わずか81日で長距離4種目の世界記録を塗り替える偉業を成し遂げ、3000m障害と3000mの記録はその後10年以上破られなかった。 ロノ氏は78年に屋外レースで31連勝を記録。全アフリカ大会、英連邦大会などを制した。5000mでは81年にも13分06秒20と世界記録を更新したが、五輪は80年のモスクワ大会もケニアがボイコットしたため、縁が無かった。 92年に引退した後は教員の資格を取得し、コーチとして働いていた。
月陸編集部