小規模企業でも「取締役会」は必要?自社に適した「機関設計」を考える【司法書士が解説】
機関設計の選び方
自社に適した形態を選ぶために、次のポイントを考慮しましょう。 1.会社規模や事業内容を考慮 ・小規模企業やスタートアップでは、株主総会と取締役のみのシンプルな形態が適しています。 ・中規模以上の企業では、取締役会と監査役を設置することで、ガバナンスを強化できます。 2.経営スピードと透明性のバランス ・スピード重視の経営にはシンプルな構成が適していますが、外部投資家がいる場合や利害関係者が増える場合には透明性を重視した機関設計が必要です。 3.コストと運用負担の見積もり ・取締役会や監査役を設置すると役員は最低4名必要になり、役員報酬の発生など運営コストが増えるため、成長段階に応じた設計が求められます。 【定款における機関設計の記載例】 取締役のみを設置する場合 「当会社は、株主総会および取締役を置く。」 取締役会と監査役を設置する場合 「当会社は、取締役会および監査役を置く。」 定款に機関設計を明記することで、会社の運営体制を明確化します。
よくある質問
Q1:小規模企業でも取締役会を設置するべき? ⇒A.必須ではありません。取締役が少人数の場合や、意思決定のスピードを重視する場合は、取締役会を設置せず取締役のみの形態が適しています。 Q2:監査役は必須? ⇒A.取締役会を設置しない場合、監査役は不要です。ただし、業務や会計の監査が必要な場合には設置を検討しましょう。 Q3:機関設計はあとから変更できる? ⇒A.可能です。ただし、定款変更には株主総会の特別決議が必要であり、一定の手続きが求められます。
適切な機関設計で会社の運営基盤を固める
機関設計は、会社の運営体制を整え、経営の効率性と透明性を確保するための基本的な枠組みです。会社の規模や事業内容、株主構成に応じた最適な選択を行うことで、スムーズな運営と持続的な成長を実現できます。 〈ポイント〉 小規模な企業はシンプルな機関設計が効率的。 中規模以上の企業は、取締役会や監査役を設置してガバナンスを強化。 コストや運用負担を考慮し、現実的な選択を行う。 以上を踏まえて、会社設立時、自社に最適な選択をしましょう。 加陽 麻里布 司法書士法人永田町事務所 代表司法書士
加陽 麻里布