履正社、夢舞台で「ライバル打倒を」 投手陣の層厚く センバツ出場校紹介
履正社(大阪)は3年ぶり10回目の出場となる。春の選抜では2014、17年に準優勝、夏の選手権は19年に全国制覇に導くなどチームを強豪に育てた岡田龍生・前監督(現東洋大姫路監督)が22年春に退任し、多田晃監督が率いる新体制では初の甲子園に挑む。
直球140キロ超の5投手
2019年夏の甲子園でチームを全国制覇に導いた岡田龍生・前監督(現東洋大姫路監督)が22年春に退任し、後任に多田晃部長が就いてから初の甲子園出場となる。新監督の下で、チームは初の春の日本一に挑む。 持ち前の手堅い試合運びと強打に加え、選手の自主性をより尊重したプレーが光る。19年夏の甲子園は盗塁0で頂点に立ったが、新体制では公式戦でノーサインでの重盗を見せるなど、多田監督は「何をすべきか考えながらプレーするように言っている。成果が少しずつ出てきた」と話していた。 この冬は投手力の向上を図ってきた。5人の投手の直球はいずれも最速140キロ台を誇る。主戦左腕・増田壮(2年)は1年時から公式戦のマウンドを経験しており、制球力が高い。速球のほかスライダーなどの変化球を操る。右上手の今仲巧(2年)はスライダー、カーブ、カットボールの制球が光る。 左上手・福田幸之介(2年)は力で相手を抑え込むタイプ。高木大希(1年)は速球と90キロ台のカーブの緩急で打者を惑わせ、中村太星(2年)はチーム最速147キロの直球に可能性を秘めている。増田は「投手同士で体の開き具合とか、自分では気付きづらいことを指摘し合っている」と自主性と競争を共存させている。
捕手で4番、攻守の要
5人をリードするのは、強肩捕手の坂根葉矢斗(2年)だ。投手陣とよく対話し、後輩の面倒見もいい。チームで最もバットを振り込む4番打者だ。 1番は強肩強打の西稜太(2年)、2番にミート力の高い主将の森澤拓海(2年)、秋の大阪府予選で4本塁打を放った3番・森田大翔(2年)が並ぶ。6番・近沢賢虎(1年)は俊足で選球眼がよく、好機を広げる。 ライバルを乗り越える目標もある。大阪桐蔭には昨夏の大阪大会と昨秋の秋季大会で、いずれも決勝で0―7と同じスコアで敗れた。「何度も悔しい負け方をした。今度こそ抑える」と増田。森澤も「全国ナンバーワンレベルの大阪桐蔭の前田(悠伍)投手を打ち崩すつもりでやってきた。その成果を見せたい」と意気込む。
OBにヤクルト・山田哲人内野手ら
前身は1922年に大阪市北区に創立した福島商業学校。67年に大阪府豊中市に移転し83年に現校名に。2000年から男女共学となり22年に創立100年を迎えた。校訓は「履正不畏(ふい)・勤労愛好・報本反始(ほうほんはんし)」。 コースは二つで、全国レベルの競技実績と学業の両立を目指す「競技コース」と、通常授業に加え「国公立進学」「医学部進学」といった放課後の専門ゼミと部活動を組み合わせることが可能な「学芸コース」がある。野球部は開校と同年に創設され、夏の甲子園は4回出場し、19年に初優勝。春のセンバツは準優勝2回。OBにプロ野球・ヤクルトの山田哲人ら。サッカー部なども強豪だ。