次世代のニュースメディア 台湾の「TOMOニュース」に潜入
香港と台湾で最大手の日刊紙「アップルデイリー」を発行するほか、雑誌やテレビ局などを運営するネクスト・メディア。昨年11月にCGアニメーションを駆使してニュースをより分かりやすく提供する新しいメディア企業「ネクスト・メディア・アニメーション(以下、NMA)」を独立。まもなく1年が経ちます。 当初、香港、台湾を中心とした中華圏のニュースからスタートし、2010年には「TOMOニュース」としてアメリカ向けのニュースを開始。今年4月には日本向けニュースもリリースしました。日本での成長は順調で8月には月間で1600万再生回数を記録しました。CGニュースの制作に、わずか2時間足らずというスピードで作り上げる台湾のスタジオ。その舞台裏を潜入取材してきました。 CEOに聞く 独創的なニュース報道を行うネクスト・メディア・アニメーション
分刻みのスケジュールでニュースを制作
台湾・台北市東部にある内湖サイエンスパーク。ここには2000を超えるハイテク企業が軒を並べています。中華圏を象徴するような派手な看板などは、少し殺風景な雰囲気ですが、ここには台湾の最先端の技術が集まり、台北におけるシリコンバレーといったところでしょうか。 その中の1つがNMAです。オフィス自体は、なんの変哲もない普通のオフィスでしたが、ここで働くスタッフは分刻みでスケジュールを管理し、CGニュースを量産していました。「言葉は相応しくないですが、“工場”のように、各担当の役割が分かれ、次々とニュースを作る体制でやっています」(同社・マーケティング担当)。 CGニュース制作の起点となるのが「コンテンツオフィス」と呼ばれる部隊。ニュースにする“ネタ”を探し、脚本を作成。1つのCGニュースが6カットのアニメーションで成り立つので、カット割りやナレーションもここで作成します。ニュースは日本の新聞社の情報をネットなど複数をチェックし、ユーザーに届けたいものを選択します。「たくさん閲覧されるニュースは、エンタメなどが多いですが、それだけだとニュースの価値やメディアとしての品格が疑われる。バランスよくニュースを選ぶのが大事で、また、CGだからこそ伝わりやすい、というニュースを選択します」(編集・小須田領さん)。ニュース選びから脚本作成まで、20分~30分で完成させるそうです。