北海道の自公選挙協力象徴区 敗北の公明候補、次回は立候補せず
公明党の前衆院議員稲津久氏(66)は25日、次期衆院選に立候補しないことを明らかにした。稲津氏は10月の衆院選で北海道10区から立候補したが、立憲民主党の神谷裕氏(56)に敗れ、公明が道内に持つ唯一の小選挙区議席を失った。 稲津氏は札幌市内で同日、阿知良寛美・公明党道本部幹事長とともに記者会見を開いて表明した。稲津氏は不出馬の理由を、計32市町村ある10区の広さと、自らの年齢を挙げ、「後進に譲りたい」と話した。一方で「議員の立場は失ったが、政治活動は続けていく」とし、来年の参院選への立候補は「検討事項」(阿知良氏)とした。稲津氏は党道本部代表も辞任する。後任には佐藤英道衆院議員(64)=比例道ブロック=が就く見込み。 稲津氏は2012年、10区から立候補する際、自民党から立候補をめざした元岩見沢市長の渡辺孝一氏(67)と競合。自公協議をへて渡辺氏は10区を譲り、比例道ブロック単独候補に回った。一方、公明は道内の他選挙区の自民候補を支援し、自公選挙協力態勢を築いてきた。 稲津氏の不出馬表明により10区は与党候補が不在となる。阿知良氏は、稲津氏の不出馬を「10区からの撤退を意味するものではない」と強調。今後の自公選挙協力は「自民党道連や党中央とも協議し、可能性を探っていきたい」と、述べた。 芦別市出身の稲津氏は、道議を3期務めた後、国政にくら替え。09年に衆院・比例道ブロックで初当選すると、道10区に移った12年から4回連続で当選した。5期15年の在任中は農林水産政務官、厚生労働副大臣などを歴任した。(佐々木洋輔、長谷川潤)
朝日新聞社