雨穴が生み出す“何かおかしい”の恐怖 『クレヨンしんちゃん』に加えるエッセンス
1997年に放送された「呪いのフランス人形だゾ」の恐るべき完成度
筆者が幼少期に観て今でも印象に残っているのは「呪いのフランス人形だゾ」のエピソード。野原ひろしが出張のお土産に持ち帰ってきたフランス人形を発端に、野原家で奇妙な出来事が起こる。ドアップでフランス人形が目を見開いて喋るという映像は当時としてはかなりのインパクトで、当然その夜は眠れなくなったものだ。筆者以外にも幼少期に見たホラー回が、大人になった今でも頭の中に残り続けているという方はきっと少なくないだろう。 だからこそ、『クレヨンしんちゃん』スタッフ陣と雨穴のコラボで生まれる化学反応に期待しかない。「夏の終わりはホラー見れば~?SP」と題された今回の放送は、『オラは見た!カスカベ都市伝説ガチャガチャ人間だゾ』と『変な家族だゾ』のホラー2本立て。雨穴が手がけた『変な家族だゾ』は、ある日、みさえからお風呂掃除を頼まれたしんのすけが、お風呂場で見知らぬ黒ずくめの人物と出会う。しかし、みさえ、ひろし、ひまわり、そしてシロらはその人を家族として受け入れているーーという摩訶不思議なエピソードだ。 2000年8月4日に放送された屈指のホラー回としても知られる「知らない誰かがいるゾ」とも近しい恐怖を感じさせるが、『何かおかしい』(テレビ東京系)や『変な家』といったジワジワとした恐怖を味わえる作品を手がけてきた雨穴との相性は間違いなくいいと断言できる。 果たしてどんな恐怖が待ち受けているのだろうか。2024年の夏は、雨穴のエッセンスが加わった『クレヨンしんちゃん』のホラー回でゾクゾクとした恐怖を味わってみるというのもありだろう。
川崎龍也