わずか3年間で戦力外…21歳で“引退宣言”も「まだできる」 2軍1登板から目指す逆襲
戦力外通告から1年後の“初ブルペン”で148キロを計測…「これ行ける!」
久々に持つ縫い目は、新鮮だった。「(昨年)10月末に沖縄のウインターリーグに参加させてもらって、戦力外を受けてから初めてブルペンに入りました。そこで148キロが出たんです。野球から1年も離れていたのに……。その時に『これ行ける!』と思いましたね」。晴れやかになった心が、再び曇った。 「試合で投げる前に1度、ライブBPで投げたんです。5球くらい投げたら、右肘がパキって鳴ったんですよね。その瞬間に力も入らなくなって……。すぐに(参加を)辞退しました。12月に右肘を手術しましたね」 1度は死んだ身。野望を追いかける覚悟がある。順調にリハビリ生活を終え、今年5月から姫路イーグレッターズの一員として活躍している。すでに実戦復帰を果たしており「155キロを狙いたい。試合経験を積んでいきたいですね。(監督の)海田さんから電話を頂いて(所属が)決まったので、恩返しがしたい」と飛躍を誓う。 同じ轍は踏まない。「投げる前の準備や気持ちの整え方など……。落ち着いて動画を見たら修正できるんですけど、あの3年間は冷静になれませんでした」。暗闇だった野球人生に、一筋の光が差し込んでいる。
真柴健 / Ken Mashiba