27年適用の「新会計基準」で大ピンチ!セブン&アイは専門チーム立ち上げ、一体何が…「2年半あっても余裕なし」
IFRSを参考にさらに日本の会計基準が見直される可能性も
今回新たに導入が決まった「新リース会計」や、過去に影響が大きかった「収益認識」もIFRSではすでに定められており、それを日本の会計基準づくりを担うASBJが日本の実情を踏まえつつ取り入れたかたちだ。 IASBの設立は2001年。欧米アジアなど世界各国・地域から理事を出しており、日本人の代表も当初から加わっている。 当時の日本はバブル崩壊後の立ち直りが遅れ、様々な金融改革が進められていた。日本の金融システムや資本市場の不透明さへの批判に対応するかたちで、会計基準・制度の改革も急ピッチで進められていた。IFRSは改革の重要な指針であり、お手本だった。 資産の評価に時価の要素を取り入れる「公正価値会計」や、資本変動を加味した「包括利益」などは、IFRSの考え方を取り入れたものだ。さらに先述した「収益認識」や「リース新会計」も加え、日本の会計改革とIFRSは切っても切り離せない関係にあると言って良い。 この先もさらに金融商品の価値が下がった時点で評価額を大きく下げる「減損」や、「保険契約」に関する会計、さらには損益計算書の表示の見直しなど、IFRSを参考にして日本の会計基準が見直されるかもしれない分野は少なくない。
大手商社、トヨタ…IFRSを使って決算発表をする日本企業も多い
さらに、日本の会計基準ではなくIFRSを使って決算発表などをする日本企業も数多い。東京証券取引所の集計によれば、8月末現在で276社の上場企業がIFRSを採用している。顔ぶれを見ても、大手商社各社、トヨタ自動車、日立製作所、ソニー、ソフトバンクなど日本を代表する企業はほぼ軒並みIFRSで財務報告をしている。かつてはアレルギーを示す日本の会計関係者もいたIFRSだが、今では日本市場にしっかりと根を張りつつある。 IFRSづくりは今後も続き、「リース」のような影響が大きい新基準が新たに登場するかもしれない。近年はIASBを運営するIFRS財団のもとに国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)という組織も設置さてており、温暖化ガスの排出状況などいわゆる非財務情報の開示基準づくりを始まっている。財務・非財務の両面で国際ルールに基づく情報開示はますます求められるようになる。基準づくりの場への人の派遣や国際会議での意見発信、人材育成など、グローバルスタンダード構築への関与がさらに必要となる。
小平龍四郎