阪神・育成ドラ2福島の“現在地” 今秋支配下目指して奮闘 ウエスタン13盗塁、フレッシュ球宴1安打1盗塁が自信に
阪神のファームを特集する企画「熱鳴-鳴尾浜情報-」。今回は育成ドラフト2位・福島圭音外野手(22)=白鷗大=の“現在地”をお届けする。1年目の今季はここまでウエスタンで163打数39安打、打率・239。自慢の足で盗塁数も13をマークし、外野手が多く出場機会が少ない中で着実に数字を残している。7月のフレッシュオールスターを機に精神面、技術面ともに後半戦は上り調子。支配下登録を目指して日々、奮闘するルーキーの今に迫った。 支配下を目指し、確かな成長を見せている。前半戦は「2ストライクで追い込まれた後に、(投手は)みんないい変化球を持ってるんでそれをぽんぽん振っちゃってた」。4月末には打率・158まで落ち込むなど1割台が続き「見るのも嫌だった」と数字を見なくなったという。そこから後半戦に入り、現在は打率・239と安定した成績を残している。 状態が上向くきっかけとなったのはフレッシュオールスターだった。野口の辞退により出場し、1安打1盗塁。「フレッシュで打てたことがすごい自信になって、これでいいんだって。めっちゃ自分の中で大きかった」。それまで生かしきれなかった福島らしい足を絡めての攻撃。積み重ねてきた努力が奏功し、気持ちと技術の面での分岐点となった。 一番変わったのは精神面だ。考え方や体は日々変わる。「だから毎日同じメンタルでやることを意識してる。毎日同じこと、同じリズムで」と聞く音楽も同じ曲で1日のルーティンを守る。気持ちの安定を保つことが「すごい大変だなってプロに入って思いました」と明かした。 14日のウエスタン・オリックス戦(鳴尾浜)で八回、追い込まれてから外角のツーシームに空振り三振を喫した。福島の中で「0点の三振だった」というが、引きずることなく「まあいいや、また明日頑張ろう」とシンプルに考えた。切り替えの大切さを後半戦に入って感じるようになり、調子の波に左右されないメンタル作りに励んでいる。 技術面では「バットに当たれば何かが起こる」という意識で打席に立っている。「崩されて空振り三振っていうのは、自分の中で一番良くない」。日々、自身の動画を見て研究。気になる点を書き出し、練習や試合で修正を繰り返す。以前までは体が前のめりになり変化球にバットが空を切っていたが、頭の位置を動かさないことを意識することで改善。7月26日のウエスタン・広島戦(倉敷)ではランニング弾で“プロ1号”を記録するなどらしさ全開でアピールした。 出塁率も・332と上昇中。出塁することで盗塁のチャンスが生まれる。試合中にはヘッドスライディングでがむしゃらに食らいつく姿がよく見られる。現在13盗塁。ウエスタン・リーグでは遠藤が24盗塁でトップを独走しているが「追いついて追い越せるように」と闘志を燃やした。 7月末に支配下とはならなかったが「去年、野口さんが秋のキャンプで(支配下に)なってるんで、まずはそこ」と明確な目標に向けて歩みを進めている。「そこで“こいつ使えるな”っていうのを見せたい」。2桁番号を勝ちとるため、鍛錬を積み重ねていく。 ◆福島 圭音(ふくしま・けいん)2001年10月6日生まれ。埼玉県秩父市出身。171センチ、72キロ。右投げ左打ち。外野手。50メートル走5秒8。遠投110メートル。秩父一中から、鳥谷敬氏に憧れて聖望学園に進学。白鷗大4年時には主に「2番・中堅」で、23年度春季リーグは打率.526、20盗塁をマーク。同年度育成ドラフトで阪神から2位指名。名前は母・真由美さんが大ファンという俳優のケイン・コスギから名付けられた。