<吹け赤い旋風・聖カタリナの軌跡>/下 甲子園へ「究極の挑戦」 四国大会、苦戦も大きな自信に /愛媛
秋季県大会は順調に勝ち進み、他校を圧倒して初優勝を飾った聖カタリナ学園。5試合通して43得点を挙げ、失点はわずかに3点のみ。堅い守備はもちろん、パンチ力のある打線を持ち味にチームとしての勢いが増していた。 ステージが一つ上がり、古豪・強豪ひしめく四国地区大会。やはり一筋縄ではいかなかった。県大会で安打となっていた打球は好守に阻まれ凡打に。相手投手のレベルも高く、苦戦を強いられた。 試練となった準々決勝・高松商(香川)戦。聖カタリナにとって初戦のこの試合。越智良平監督(39)は固唾(かたず)をのみ、試合展開を見守っていた。「ここで突き抜ければチームとしても大きな成長になる」。同点で迎えた八回裏1死一、二塁の場面。前の打席は送りバントに失敗し、重い空気がベンチに漂っていた。その後を任された堀越璃雄(りお)内野手(2年)は高めの直球を初球で振り抜いて勝ち越し。そのまま勝利をつかみ、チームに大きな勢いと自信をつける一打となった。 「ああいった場面で仲間のミスをしっかりとカバーする。そんなところが結成当初と比べて飛躍的に進歩した点なのかなと思う」と越智監督は評価する。続く小松(愛媛)戦は延長の末、堀越内野手のサヨナラ打で劇的勝利。決勝の明徳義塾(高知)戦では抜け目ない守備、バリエーション豊富な戦術に終始圧倒された。「これが全国のレベルか……」。多くの課題や収穫を得ることもできた。 掲げたスローガンは「アルティメット・チャレンジ」(究極の挑戦)。自身が宇和島東の選手時代に薫陶を受けた名将・上甲正典監督(故人)の座右の銘「夢かなうまで挑戦」と、その後進学した早大のラグビー部が掲げていた「アルティメット・クラッシュ」(圧倒的な勝利)を掛け合わせた。挑戦はまだ始まったばかり。甲子園開幕に向け「赤い旋風」を巻き起こす準備を着々と進めていく。(この連載は遠藤龍が担当しました)