「河内山」で河内山宗俊を演じる市川團十郎（C）松竹

　歌舞伎俳優の市川團十郎が３０日、千葉・成田国際文化会館で初日を迎えた「１３代目市川團十郎白猿襲名披露巡業」（全国１８か所２３公演、９月２７日まで）に出演した。 　屋号の成田屋の由来となった成田山新勝寺のお膝元での公演。口上と河竹黙阿弥の名作「河内山（こうちやま）」に出演した。江戸城で諸大名の世話をする数寄屋坊主でありながら、高僧に身分を偽って屋敷に乗り込む河内山宗俊を演じる團十郎が登場すると「成田屋！」の大向こうが響いた。正体を見破られて開き直る名場面では、場内は大きな拍手に包まれた。 　公演後、ブログで「台風の中でしたが無事に終わりまして、ありがとうございます」とメッセージ。河内山については「完全なる正義ではなく、少しダークヒーロー感も秘めているところが面白い。勧善懲悪な荒事を得意とする成田屋から生まれた河内山。痛快劇の原点と言っても良いと感じる。これは河竹黙阿弥と九代目團十郎とで初演、痛快劇の原点と言っても良いと感じる」と説明した。 　口上では「代々の團十郎に顔向けできるように精進する所存でございます」と決意を述べた。中村梅玉は「令和の團十郎として、家の芸を継承するだけでなく、新しいことに挑戦する姿に感心しております」と激励した。 　巡業の予定は以下の通り。９月３日に青森・リンクステーション青森、４日に宮城・名取市文化会館、７日に島根・島根県民会館、８日に鳥取・とりぎん文化会館、１１日に兵庫・神戸文化ホール、１２日に広島・広島文化学園ＨＢＧホール、１４日にジェイコム北九州芸術劇場、１５日に大分・ｉｉｃｈｉｋｏ総合文化センター、１６日に長崎・アルカスＳＡＳＥＢＯ、１８日に岐阜・高山市民文化会館、２０日に愛知・愛知県芸術劇場、２１日に京都・ロームシアター京都、２２日に三重・四日市市文化会館、２３日に静岡・アクトシティ浜松、２５日に新潟・長岡市立劇場、２６日に石川・金沢歌劇座、２７日に石川・團十郎芸術劇場うらら。