「富裕層向けビジネスで優位性がある」高島屋の"金融サービス"がメガバンクや証券会社の脅威になりうるワケ
■ソーシャルレンディング事業で業務提携 このため、高島屋の金融事業の拡大は続いており、2023年10月には、高島屋ファイナンシャル・パートナーズとバンカーズが、ソーシャルレンディング事業で業務提携し、名称新たに「高島屋ファンディング」として、より多くのファンドを組成し、個人顧客に販売している。 「資金調達をしたい企業」と「資産運用したい投資家」を結びつけるサービスであるソーシャルレンディングは、少額から投資ができるミドルリスク・ミドルリターンの金融商品であり、高島屋ファイナンシャル・パートナーズでは、2021年7月にはソーシャルレンディング事業を開始している。これまでに6本のファンドで累計約3億円を運用、全て正常に償還している(2023年10月時点)。 貸付先は「上場企業」もしくは「上場企業に準ずる会社」を厳選しており、例えば、2024年9月に募集していた「【高島屋ファンディング】サンセイランディックファンド第1-2号」の予定分配率(年率)は2.6%、期間6カ月、募集金額5000万円であり、借手は、東証スタンダード上場の不動産会社サンセイランディックで、資金使途は不動産売買事業に係る事業資金となっている。既に先着順で完売し、現在運用中だ。 ■ヘルスケア不動産への投資、富裕層向けIFA会社を子会社化 2024年3月には、高島屋は、グリーンエナジー&カンパニーの子会社で介護施設や医療施設の不動産開発を行うFantaとの間で資本業務提携を結んだ。2024年内にヘルスケア施設を投資対象とする不動産ファンドを創設、保有不動産の資産規模約500億円を目指すという。 また、将来的には両社によるヘルスケア施設特化型の投資法人の設立にも取り組むという。高島屋はヘルスケア不動産への投資事業で、配当収入だけでなく、将来的には高島屋の顧客向けにREITなどの金融商品を販売することなどにより、金融収益をさらに広げることを目指している。 2024年6月には、高島屋は、大阪に本社がある富裕層向けの資産運用助言会社であるヴァスト・キュルチュールを子会社化した。 ヴァスト・キュルチュールでは、独立系金融アドバイザー(IFA)として、特定の金融機関に属さず、中立的な立場から富裕層向けに資産管理を助言しており、金融商品売買時に証券会社から得る仲介料が主な収益源となる。 子会社化により、高島屋の顧客に対しては、ヴァスト・キュルチュールのオーダーメイドの富裕層向け資産運用・資産管理サービスを提供できる一方、ヴァスト・キュルチュールの顧客に対しては、高級ブランド品や美術品など高島屋が取り扱う様々な富裕層向け商品やサービスを提供することが可能となる。