第9回福祉新聞フォーラム「福祉法人決算のあり方・読み方」の内容を紹介
会計業務電子化で効率化
公認会計士渡部博事務所 室岡 良行 氏 電子帳簿保存法の対象となるのは所得税法、法人税法上の保存義務者で、電子取引データの保存は必ず行い、電子帳簿等保存、スキャナー保存は任意です。社会福祉法人の場合、青色申告法人以外は収益事業会計のみ、青色申告法人では全会計に適用されます。 電子取引データの保存は改ざん防止措置が必要です。多くの会計ソフトは同法に対応しているので使用中の会計ソフトを確認してください。中には高いセキュリティーを備える会計ソフトもあり、より安全な運用ができます。 スキャナー保存は任意ですが、紙の保存の手間がなく業務を効率化できます。多くのソフトも対応しているので同法の対象外であっても取り組んでほしいと思います。 社会福祉法人の会計業務はより幅広く高度化しており、人材も不足する中、会計業務を効率化するための電子化に対応する必要があります。 まずは電子帳簿保存法の対象かどうかにかかわらず、帳簿等、取引証しょう憑ひょうの保存の電子化を進めていきましょう。 帳簿等の電子データ保存は経理規定などの見直しが必要です。取引証憑の電子データ保存は特段の手続きなく進めることができます。 次に会計処理の電子化です。会計ソフトには仕訳承認フロー機能が付いているものもあるので仕訳伝票の承認業務を電子化することも可能です。内部統制が気になる場合などに使うとよいでしょう。会計システムはクラウド型の方が時間や場所に制約がないため、会計業務を効率化できます。 会計ソフトをインターネットバンキング登録口座と同期すると通帳の内容が会計ソフトにダウンロードできたり、スキャナーと連携すると紙の取引証憑を電子化して会計ソフトに取り込めたりする方法もあります。 さらに、RPAを利用してパソコンでのデータ入力、加工の作業をソフトに代行させることで、人がやっていた業務がなくなり、業務の効率化、生産性向上につながるものと考えます。