未だ通用する[実力車]!? 天才タマゴと呼ばれた[初代エスティマ]の凄さって?
1990年に登場した初代エスティマ。天才タマゴと言われるパッケージングやデザインは秀逸であるが、エスティマの凄いところはこんなもんじゃない!その工夫は細部にわたり、今でも十二分に通用する実力をもつ。エスティマの細かなこだわりを見ていくと、エスティマがただの天才ではないことが分かったぞ。 【画像ギャラリー】100パーセントの努力で誕生した天才!!初代トヨタ エスティマと歴代「天才タマゴ」の系譜(11枚) 文:佐々木 亘/写真:TOYOTA ほか
■商用バンの乗用車仕様じゃない!運転席の位置が純乗用車の証
初代から最終型まで、エスティマ最大の特徴は「優れたドライバーズシート」にある。 1990年当時、多人数乗車ができるクルマは、商用バンを起源にしているものが多かった。トヨタではタウンエースがいい例だ。キャブオーバーでタイヤの上にドアや運転席がある。これが、日本における一般的な多人数乗車できるクルマのカタチだった。 この当たり前を大きく覆したのがエスティマである。エンジンこそミッドシップレイアウトだが、運転席のドアはフロントタイヤの後ろに置かれ、シートポジションも低い。よじ登ることなくクルマに乗れるというのは、新しい感覚であった。 ペダル位置やステアリングの取付角度などを、セダン寄りに作り上げ、あくまでも乗用車であることにこだわっている。計器類も最適な運転姿勢を確保するように、隅々まで工夫されたエスティマは、数値で表現される性能だけでは計れない、高い実力を持っているのだ。
■フロアが最近のクルマよりもフラットすぎる!
初代エスティマがこだわったのが「ウォークスルー」の実現。そのため、シフトレバーはコラム式になり、パーキングブレーキはレバー式にもかかわらず、運転席の右側に置かれた。一般的には左手で引き上げるサイドブレーキレバーを、あえて運転席ドア側にして実現したウォークスルーエリアには、障害物が全くない。 さらに車内を歩きやすくするため、フロアのフラット化には心血を注いだ。室内設計に基本段階から配慮したことがうかがえる。 2×2×3の7人乗りであるエスティマは、2列目までがキャプテンシート。運転席から3列目まで、何も気にせず歩いていける計算し尽くされたスペース設計が凄い。 また、現在のキャプテンシートミニバンのように、2列目シートに前後スライド機構などは備わっていないのだが、それが余計にフロアカーペットを綺麗に仕上げている。スライド用のレールが無いものだから、床一面が途切れることなくカーペット敷きだ。 見方によっては、こちらの方が一体感があり、広く優雅に見えてくる。