【Playback箱根駅伝】第19回/日大が無敵の4連覇!2位フィニッシュの明大失格で、専大が繰り上がり 1位、2位の差は史上最大の37分59秒
2024年に箱根駅伝は第100回大会を迎える。記念すべき100回に向けて、これまでの歴史を改めて振り返る『Playback箱根駅伝』を企画。第1回大会から第99回大会まで、大会の様子を刻んでいく。(所属などは当時のもの) 第19回箱根駅伝総合成績をチェック
第19回(1938年/昭和13年) 早大、慶大が「駅伝は長距離強化に不適当」を理由に不参加
早大と慶大が「駅伝はトラックの中長距離選手を強化するうえで不適当」という駅伝有害論を唱えて出場を辞退した。有害論の背景には、コースのほとんどが砂利道でケガのリスクが懸念されたことや、選手数の確保のために専門外の選手が起用されることへの疑念もあったとされている。 12校で行われたレースは3連覇中の日大が、1区で先頭と4分39秒差の5位と出遅れる。東京文理科大の常松喬が区間新記録の快走を見せ、2位の明大に2分20秒差をつけた。それでも日大は2区の鈴木勇が区間新記録の走りで先頭に立つと、東京文理科大に対して1分38秒のリードを奪った。 3区から反撃に出たのが戸塚を3位で通過した明大。区間賞を獲得した3区の浜克己で2位に上がると、4区の宮城礼次が区間2位に5分4秒差と圧倒的な走りを見せる。日大を抜いて先頭に立ち、小田原では3分3秒の差をつけた。 日大は2大会連続で5区区間賞の鈴木房重で逆転。2位の明大と24秒差の接戦を制して往路4連覇を成し遂げた。 復路でも日大と明大が激しいデッドヒートを繰り広げる。明大は7区で山崎政夫が区間賞の走りで逆転。8区では日大の大沢竜雄が区間新記録を樹立して再逆転したが、リードはわずかに10秒だった。 差が開いたのは9区。日大の鈴木清美が区間賞の走りでリードを1分18秒に広げると、10区の松永重も区間賞で締めて、史上初の4連覇を成し遂げた。 明大は日大と1分25秒差の2位でゴールしたが、後に厳しい判定が待っていた。6区に起用した選手が昼間はNHKに勤務する夜学生で、学生競技者としての資格に問題があることがわかり、失格処分(記録は参考記録)となった。このため、3位の専大が2位に繰り上がり、1位の2位との差は37分59秒となった。この記録はいまも大会史上最大の差として残っている。 また、前年の7月から日中戦争が始まるなど、学生スポーツを取り巻く環境にも少しずつ暗い影が迫っていた。 参考文献:箱根駅伝90回記念誌(関東学生連盟)
月陸編集部