飛んでイスタンブール! 「世界三大料理」に納得、トルコの美味と世界遺産を味わう
連載《A RIDE FOR FUN》Vol.8
トルコは2023年10月29日、共和国建国から100年の節目を迎えました。そして2024年は日本とトルコの外交関係樹立100周年の記念すべき年となります。 【写真はこちら】名物スイーツ「バクラヴァ」、トルコ料理を高みに押し上げたトプカプ宮殿、東西融合を実感するモスク…美味・美景をもっと見る そこで今回のA RIDE FOR FUNでは、古くから交通の要衝としてローマ帝国、ビザンツ帝国、オスマン帝国による征服が繰り返され、長い歴史の中でヨーロッパとイスラムの文化が絶妙に融合した街、トルコのイスタンブールを取り上げたいと思います。 「飛んでイスタンブール」。昨年10月末、ドバイ発イスタンブール行きのフライトの機中では、昭和歌謡が好きな私の頭の中で庄野真代さんのあの名曲が鳴りっぱなしでした。 「おいでイスタンブール 人の気持ちはシュール だからであったことも 蜃気楼(しんきろう) 真昼の夢」 いまだに理解するのが難しいですが意味深な歌詞、そしてエキゾティシズムにあふれたリズム。洋の東西、歴史の新旧の融合が織りなすユニークな風景に巡り合えるイスタンブールは、この曲が醸し出す異国情緒に満ちあふれた、まさにシュールな街です。
■絶景が広がる「地下鉄の駅」
水上バス、地下鉄、路面電車、自動車と、イスタンブールでは様々なモビリティーが活用されている風景に出合えます。ユニークな交通体系が成立している背景にあるのは、この土地固有の地理的条件です。大都市イスタンブールはボスポラス海峡を挟んで、東側はアジア大陸に、西側はヨーロッパ大陸に属しています。ヨーロッパ側では、金角湾を挟んで新市街と旧市街が広がっています。 19世紀以前は金角湾には橋がなく、小さなボートで両岸を行き来していました。現在は4本の橋が新市街と旧市街をつないでいます。最も新しいハリチュ大橋には、2014年に開業した地下鉄M2号線のハリチュ駅があります。これは世界的にも珍しい、橋の上につくられた地下鉄の地上駅です(冒頭写真)。無料の展望台からは新市街と旧市街を一望できます。トルコ語で「テペ」と呼ばれる小高い丘が新旧市街に点在している様子が手に取るようにわかります。 金角湾に最初に架かった橋は、1836年に北岸のガラタ地区と旧市街エミノニュ地区を結ぶ跳ね橋のガラタ橋。当初は木製でしたが、5度目の再建が施された現在は上層と下層の2層式で、下層にはレストランやカフェが軒を連ねます。上層は車道と歩道、路面電車も走っています。歩道から釣りざおを下げて金角湾の魚を釣る地元民が数多くみられます。 ガラタ橋の旧市街側の付け根にあるエミノニュ広場には、イスタンブール名物のB級グルメであるサバサンドのスタンドが並び、辺りには香ばしい匂いが漂っています。屋台船の上で焼かれたサバと玉ねぎ、レタスをバゲットで挟んだ出来たてのサバサンドを、まずは何もつけずに目をつむって頬張ります。脂がのっておいしい焼きサバの風味を堪能すれば、不思議と日本にいるような感覚をおぼえます。しょうゆをかけるとなおさらでしょう。それだけ焼きサバは日本人にとってもなじみ深い味なんですね。今度は目を開け、お店のテーブルに置かれているレモン汁をかけて頬張ると、焼きサバの味にフレンチ風のさっぱり感が加わります。目に飛び込んでくる旧市街の風景とバゲットの香ばしさとが相まって、イスタンブールならではのシュールな味わいになります。