六本木の元クラブママが明かす「傷つけずに相手の体臭を軽減させる方法」
日系航空会社CAから六本木のクラブママを経て作家となった蒼井凜花が、実際に体験した、または見聞きしたエピソードをご紹介。今回はSNSで「男性の体臭が苦手」発言をしたフリーアナウンサーの炎上騒動にまつわる改善策をお届けする。
体臭がキツい人が来たときの対処法
筆者は10年間にわたり、六本木のクラブでママ業をしていた。男性相手の仕事なので、体臭やタバコ臭にはあるていど慣れており、「夏場なら一日中働いた体は、汗臭くて当然」という認識も持っている。 しかし、いつしかハラスメントという言葉が独り歩きし「スメルハラスメント(略してスメハラ)」が、人間の生理現象に影響を及ぼし、生きにくさに直結してきたように思う。実際に「体臭がキツイ男性が近くに来たらどうしていたか」を振り返ってみた。
必要なのは「自分を悪者にすること」
例えばクラブママ時代、隣に座ったお客様の口臭や体臭が強烈だった場合、「まず、自分は大丈夫か?」と自身の体臭や口臭を確かめる。「人のふり見て、我がふり直せ」は当然のことだ。そのうえで、アクションを起こす。 ある日、汗かきなお客様・孝彦さん(仮名・55歳)がご来店した。製薬会社営業マンの彼は、猛暑での外回りが相当キツかったらしい。頭皮が見えるほど髪はびしょ濡れで、白のワイシャツにはくっきりと汗ジミが滲んでいる始末。 筆者は孝彦さんを不快にさせることなく汗臭さを軽減する方策を練った。それは他ならない「自分を悪者にする手法」である。 まずは、孝彦さんの隣に座って楽しくおしゃべりし、トークが盛り上がったタイミングで以下のように告げるのだ。 普段からポーチに入れている汗拭きシートを取り出し、「すみません、話が楽しすぎて汗ばんできちゃいました。実は私汗っかきで……この場で汗を拭かせて頂いてもよろしいでしょうか?」とお伺いを立てる。 ここで「NO」と言う男性はまずいない。案の定、孝彦さんも快く承諾してくれた。 筆者はドレスから露出した腕やワキ、首筋あたりを丁寧に拭く。この姿を孝彦さんにしっかり見てもらうのだ。 そのうえで、「もしよろしければ、孝彦さんもこの汗拭きシートを試してみません? 柑橘系の香りですから男性でもOKなんですよ」と一枚差し出す。 「じゃあ、使わせてもらおうかな。僕も汗かきだからさ」と孝彦さんは笑顔で受け取り、首元や額から流れおちる汗を拭き始めた。 彼がさっぱりしたところで、「いい香りですね」「孝彦さんと私、おそろいの香りですね」と筆者も笑顔を返す。彼の体臭は驚くほど軽減されて、再び気持ちよくトークができた。