BNBチェーンが「RaaS」提供開始、BSCのL2エコシステム拡大へ
BNBチェーンが「RaaS」提供開始
大手暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンス(Binance)提供のL1ブロックチェーン「BNBチェーン」開発チームが、新たに「ロールアップ・アズ・ア・サービス:Rollup-as-a-Service(RaaS)」ソリューションを提供開始したことを3月13日発表した。 このソリューションは、BNBスマートチェーン:BNB Smart Chain(BSC)上で費用対効果の高い専用のロールアップを構築するために必要なインフラをDapps(分散型アプリケーション)プロジェクトに提供するものだ。 同ソリューションには、ノーコードのデプロイメントオプションも含まれており、開発者はコード不要でレイヤー2ブロックチェーンが展開できるとのこと。 BSCネットワーク上に構築されるレイヤー2は、「opBNB Connect」を介してBSCに接続されるとのこと。「opBNB Connect」は、エコシステム内のチェーンの相互運用性を促進するように設計された、BSCのL2となる「opBNB」を利用した機能である。 なおロールアップとは、元となるブロックチェーンのセキュリティなどを活用しながら、ガス代(ネットワーク手数料)やネットワークの混雑解消を図るスケーリングソリューションである。 ロールアップの主流として、「オプティミスティックロールアップ(Optimistic Rollups)」と「zkロールアップ(zkRollup)」が存在する。 今回の発表では「BNBチェーン」の「RaaS」で構築するチェーンがどちらのロールアップを採用しているのかについては記載がない。ただし前述したように「opBNB Connect」を介してBSCに接続されることから「オプティミスティックロールアップ」を採用するL2チェーンが構築できると思われる。 なお「opBNB」は、オープンソースのブロックチェーン開発ソフトウェア「OPスタック(OP Stack)」を採用したイーサリアム仮想マシン(EVM)互換のL2ブロックチェーン。 「OPスタック」はイーサリアム(Ethereum)のL2スケーリングソリューションであるオプティミズム(Optimism)の技術に基づいたソフトウェア。開発者はこのソフトウェアを用いることで、「オプティミスティックロールアップ」を採用した独自のレイヤー2ブロックチェーンの立ち上げが可能だ。 ちなみに「オプティミスティックロールアップ」では、正当性の検証方法をレイヤー1(イーサリアム)に提出されるデータはすべて正当なものであるという楽観的(オプティミスティック)な前提に基づいて検証を行う手法にて、スケーラビリティを確保している。 また「zkロールアップ」は、暗号技術を利用した証明技術「ゼロ知識証明(zero-knowledge proof:zkp)」活用のロールアップだ。 「BNBチェーン」は、「BNBビーコンチェーン」と「BNBスマートチェーン(BSC)」と呼ばれる2つのブロックチェーンで構成されており、バイナンススマートチェーン(Binance Smart Chain)として稼働していたEVM互換のブロックチェーンを改名したものである。 「BNBチェーン」エコシステムには「BNBビーコンチェーン」と「BNBスマートチェーン(BSC)」の他、既存のL2である「opBNB」と「zkBNB」、そして分散型データストレージ「BNBグリーンフィールド(BNB Greenfield)」がある。
大津賀新也(幻冬舎 あたらしい経済)