<下剋上で頂へ―’24センバツ・中央学院>第2部・合宿で得たもの/中 投手陣、感覚に磨き 不安と自信、揺れる心 /千葉
「変化球の感覚はさらに良くなっている」。中央学院の沖縄・石垣島(沖縄県石垣市)で行った合宿5日目。野手兼投手の颯佐心汰(2年)は久々のマウンドに、手応えを感じていた。 【写真で見る歓喜の瞬間】歴代のセンバツ覇者たち 臼井夕馬(同)、蔵並龍之介(同)とともにセンバツでの登板が期待される。しかし、けがの治療で昨秋の関東大会以降は投球練習をしなかった。「けがをする前よりも良くなったと思われたい」とネットピッチングに力を入れてきた。2月になってようやくブルペンに入ったが、以前の感覚が取り戻せず、合宿になっても不安なままだった。 5日目には計12イニングの紅白戦があり、颯佐は1イニングのみマウンドに立ったが、打者を前に「打たれたくない」とスイッチが入り、自信がよみがえった。 紅白戦では、臼井も3イニングを投げた。秋季大会は先発出場が多かったが、期待以上のピッチングができずに序盤での降板が多く、左打者への対応は課題と捉えていた。しかし、対戦した左打者を抑え、打席に立った左打者の上村晃平(同)は「投球にまとまりがあった。(臼井自身の)投球に挑戦している姿勢を感じた」と好感覚だったという。鋭い打球で打ち取られた颯佐は臼井に「まだまだ」と伝えていたが、「臼井はもっとできるとの期待を込めての言葉だった」と明かした。 昨秋の「背番号1」の蔵並も2月に入るまで投球練習はしなかった。紅白戦で投げたが以前の感覚は戻らなかった。「とにかく投げ込む。秋よりも上達していなければいけない」と気合を入れた。 合宿ではチームのアドバイザー、川畑健一郎さんから助言も受けていた。1997年のセンバツで優勝した天理(奈良)の外野手だった川畑さんは、自らの経験から「初戦はふわふわして、いつも通りの野球はできない。投手がしっかりしないと」と伝えていた。 その日の夜、蔵並は甲子園のマウンドに立つ自らの姿を想像すると、どんな感覚なのか分かった気がした。「甲子園は夢の舞台。気持ちの持ち方が大切だと思う」【林帆南】