「モノなしマルチ」注意 仮想通貨や投資取引 相談、半数が20代以下 茨城
仮想通貨(暗号資産)や実態のない投資取引などのもうけ話に勧誘して紹介料などを得る「モノなしマルチ商法」を巡るトラブルが後を絶たない。国民生活センターに寄せられた相談件数は2014年度に全体の約2割だったが、近年はマルチ商法の主流となっている。 国民生活センターによると、モノなしマルチは、副業や投資に関するノウハウなど商材が存在しないマルチ商法。海外投資などに勧誘されたものの、仕組みが分からず、解約や返金を求めても交渉が難しいケースが少なくない。商品購入の契約を結んだ後に、投資回収名目で次の購入者を紹介させる「後出しマルチ」もある。 モノなしマルチに関するトラブル相談は、14年度が全体の2割強に当たる2618件だったが、17年度には同5割を超える6267件に増加。近年はマルチ商法に関する相談が減少傾向にあるものの、22年度は3536件で半数が20代以下からだった。 同センターは若者を中心にトラブルが多発しているとして、勧誘してきた事業者の実態が不明な場合などは契約しないよう注意を呼びかけている。 茨城県の県央地区の男性(23)は昨年7月、高校時代の後輩から誘われて訪問販売業者主催のバーベキューに参加。その後、為替変動を予想し投資する金融商品「バイナリーオプション」のソフト購入を勧められ、借金して料金77万円のコースに入会した。 講義内容が理解できずにいると、業者幹部から「もうかる保証はないが、もしこの環境で仲間づくりできたら成功」と勧誘を促された。同級生ら30人に声をかけたところ、1人が入会。男性は紹介料7万円を受け取った。 男性は現在活動をやめ、借金は両親が返済。今も「勧誘は違法でない」と考えているが、同社からは返金や連絡がないという。 モノなしマルチを巡っては、日弁連が先月、特定商取引法改正の検討を求める意見書を経産省や消費者庁へ提出。現行法では抑止効果が期待できないとして、「他の生活経済事犯と同程度の法定刑が必要」としている。
茨城新聞社