園田賢は今年もファンのために勝つ、そしてしゃべる!いまだ出ない“裏3”には「こんなにおいしいことある!?」
プロ麻雀リーグ「Mリーグ」赤坂ドリブンズの園田賢(最高位戦)にとっては、チームの準優勝という結果以上に、ファンに明るい話題を届けられたことがうれしかったようだ。レギュラーシーズンでも個人ランクで8位(+205.1)に食い込み、チームも好成績。初年度の優勝以来、ようやくファンと笑い合えるシーズンを過ごせたのだろう。試合後のロングインタビューはもはや恒例行事。さらに裏ドラ3枚(裏3)がいまだ出ないことも「こんなおいしいことある!?」とネタ化は大歓迎。新シーズンも園田は何かにつけて忙しい。 【映像】もはや美しい!園田賢、メンタンピン三色ドラドラ完成のシーン ―チームは準優勝、園田選手個人もレギュラーシーズンでは+205.1。自身ではどう振り返るか。 園田賢(以下、園田) 嬉しかったですね。目指すものは優勝なので、そこからすると2位という結果は「目的は達成できなかったなぁ」なのですが、ドリブンズは長らく成績が低迷していたので、ファンの人に申し訳なかったんです。応援している人たちは、自分の推しチームが勝たないと楽しくないですから。「申し訳ないな」とずっとやってきたので、そういう流れでいうと、2位という結果でもすごく満足しています。 ―昨シーズンに2選手が入り雰囲気も変わった。鈴木たろう選手は、浅見選手を「チームの母」と言っていた。 園田 MCですね。(浅見)真紀とは付き合いが長くて、だいぶ昔から知っているんです。最高位戦でも一緒に仕事をしてきたし。最高位戦の放送は実況と解説というスタイルだったんですよ。だけど近年、「実況と解説じゃないよね」と。実況側の仕事というのは、ただありのままを伝えるだけではなくて、場を回す。放送が面白くなるために、いろいろなところに気を遣って場を回す仕事だから、「実況という呼び方をやめてMCにしよう」となりました。今はMCという呼び方が定着していますが、それを動かした、それを中心となって言い出したのが真紀だったんです。 だから、真紀は実際にそれをめちゃくちゃ意識してやっていて。そういう人なんです。ものすごく気を遣って、いろいろとやっていて。それがチームの中で出ているな、という気がします。全方向に気を配りつつ、雰囲気を絶対に壊さないように。雰囲気が盛り上がるように。 だから、僕が一番思うのは「ボケやすい」です。絶対に拾ってくれるから。どんな悪いところに球を投げても何とか拾ってくれる、トスを上げてくれるので、そういう安心感はありますね。 ―浅見選手本人は「楽しんでいただけ」と言っていた。 園田 なるほどね。社会人的ですね。謙虚な見せ方を持ち合わせていますからね。内心は「せやろ、せやろ!」と思っているかもしれませんけど(笑)。 ―昨年のインタビューで「(渡辺)太はやるよ」と言っていた。実際、どうだったのか。 園田 新鮮でしたね。視線が新しいというか、育ってきた土壌が全然違う。新しい化学反応が生まれた感じはしますよね。 ―渡辺選手が出てきたことでMリーグの麻雀が変わった。 園田 「あ、こういう風にやってもいいんだ」と。みんな、そういう打ち方をすることがあっても、やはり見られている麻雀なので。「こういうイーシャンテンから放銃したらかっこ悪い」とか、「コメントで叩かれる」とか。いろいろあると思いますが、結局、そこに寄ってしまうんですよね、見え方みたいなところに。 でも、太は「見え方なんて知らんがな」。期待値でやるんです。「このイーシャンテンから放銃率何%のやつを打って、その結果、放銃になろうが、それは知らん」と。その時に一番期待値のいい選択をしたので、その結果がどうであろうと後悔は何もない、というのを一番徹底して強いハートでやり抜くことができる。そこが、みんなも「あー、いいんですね」「やっていいんですね、太さん」となっているんだと思います。 ―チームメイトとして間近にいることは好結果を生んでいるか。 園田 それはわかりません(笑)。あるかもしれませんが、麻雀のゲーム性はそんなものではない。いろいろな人が経験あると思いますが、一晩打って、次の日に実力は全く変わっていないのに、また一晩20半荘程度打って成績が前回▲200だったのに、今回は+200だった、ということがあるのは分かっているはず。それと見られている麻雀、Mリーグの舞台だからゲーム性が著しく変わるかというと、そんなわけはない。というのが持論としてあるので、太の影響が直接結果に結びついたとは言えないんです。もしかしたら、ちょっとだけ影響はあるかもしれませんが(笑)。 ―自身のプレーに、そこまで影響はなかった。 園田 プレーに影響はあります。ありますが、成績に反映されたかは分からないです。何故なら、その影響が、もしかしたら悪い方向に行っているかもしれない。「このくらい押していいんだよね。OK、太、分かった。押してみる」とやっていますが、実は1億回同じことを試行したら、そちらの方が悪く出ているかもしれない。 だから、それは分からないながらに、自分の中でバランスを構築していくしかありませんが、とにかく、そのきっかけを与えてくれた、という感じですね。 ―今年は新たに2選手がMリーグに入った。 園田 竹内元太に関してはよく知っています。同じ団体の後輩ですから。ものすごく分かっていますが、麻雀の特徴でいうと相手の速度間の把握というところに、ものすごく強いですね。序盤に3巡、他の人が打ってきました。その字牌の切り順とか、そういったところから「相手の手牌はこういうパターンがどれくらい」というカテゴライズをすることに、ものすごく重きを置いている選手です。 だから、序盤でそこそこの形から急に降り出したり、序盤でそんなに形は良くないのにブクブクに構えたり。あと、「今のタイミングだったら、ドラは鳴かれないよね」とめちゃくちゃ早いタイミングでドラを切ったりとか。そういった部分で、今までの選手とは違う部分が見られるんじゃないかな、と期待しています。 ―浅井堂岐選手に関しては。 園田 元太も堂岐も勉強会を一緒にやっているので、堂岐ともそこそこ打ちますが、堂岐の麻雀は、こんなタイプですって言うのが難しいです(笑)。オーソドックスなんですよ。めちゃくちゃ守備型の人とか、めちゃくちゃ鳴く人とか、そういうのは「こういう人です」と言いやすいですが、麻雀なんて、そんなトリッキーなことはできないので。 仲林(圭)はめちゃくちゃ強いですが、「じゃあ、仲林の麻雀はどういう麻雀なんだ」と言ったら「まぁ普通」という感じじゃないですか。だから全てにおいてバランスがいい、堂岐も印象としてはそういう感じですね。 ―シーズン中、よく裏3(裏ドラ3枚)が話題に出る。まだ園田選手には出ていないが。 園田 出ていないですね。確率を下回っているかと言われれば、それは下回っているでしょう。2人に1人は確率を下回るので。今シーズンの始まりで2000局くらい。まだ3000局にはいっていないと思いますが、まだ2千何百局で裏3が出ないというのは、どれくらいの確率なのかは分からない。ですけど、相当に低いのは間違いないと思います。 だけど、それをネタにしていただけるし、誰かが裏3を出す度に、僕が話題に出ている。「こんなにおいしいことある!?」と思っています(笑) おいしすぎるので、ぶっちゃけ裏3は出なくていいです。出てほしくないです(笑)。実際、僕は去年、裏ドラ効率はめちゃくちゃ良かったんですよ。裏ドラはたくさん乗っていた。裏ドラが1個、2個乗るというのは36選手の中でもかなり上位で。裏3だけ乗らなかったんですよね。 そういうのがいいですよね。エンタメ的には「裏3乗らねー、きっちー」「またダメですか、ソノケンさん」と言っている中で、こっそりと裏ドラをちょくちょく乗せていく、みたいな。そんな感じの去年でしたが、それを引き続きやっていきたいと思います。 ―控室では靴や靴下といった小ネタもある。 園田 基本、僕は靴とか靴下が大嫌いなんです。可能であれば裸足にサンダルで一生過ごしたいな、と思っています。それをずっとやっているから、いつもギリギリに靴下と靴を履きますが、さっき、「Mリーググッズで新しくサンダルを作りました。それを紹介するVTRを撮ります」と。そういうのも仕事に繋がるから、おいしいですよね。何が仕事に繋がるか、本当に分からない。 ―今年の目標は。 園田 これは初年度から今までずっと一貫して一緒です。ただ、世間の風当たりを気にして堂々と言えないこともありましたが、個人ならMVP、チームなら優勝。これしかないですね。 ―それに向けて、どんなことを。 園田 結局、抽選の結果、いい結果を引く。言い方を変えると「つく」。ついていないと優勝は絶対にできないです。ただ、優勝する確率を0.1%でも0.01%でも高めていく。いい抽選の結果を引くためにできることは普段の勉強や研究なので、そのいい結果を引くための確率を高めていくというところを頑張りたいな、と思っています。 ―勝利した時のしゃべくり園田はコメントが沸く。ある種の伝統芸。しゃべりたくない時はあるのか。 園田 ありますね。トップを取った時は例外なくしゃべりたいですが、ラスを取った時、しかもしゃべる時がない時は、あまりしゃべりたくないですね。だけど、基本的にはしゃべりたがりなので、9割9分はしゃべりたいかな。 僕がしゃべるのは、基本的にはあまり麻雀が分かっていない方に対するメッセージを伝えたいんですよ。さっき太の話が出ましたが、「こんなイーシャンテンから、リーチに通っていない無筋を切ってロンと言われる」と、いまだに「こんなところから放銃してタコだ!」と言われることがあるんですよ。そう言われるのが怖いというのがある。だけど、太が「それは期待値上10%(仮)の放銃率は切るべきだし、放銃したとしても何でもない」とネット麻雀の王が言ってきて、「それはそうだ」と認められるようになりました。 それと一緒で、「ここで、こんな牌を切るなんて、バカか!」とみんなが言う。結果、それが敗因になったりすることもありますが、「いやいや、僕はこう考えて、こういう読みがあって、だからなんですけど。あなた、そこまで読めた上で非難しているんですか!?どうなんですか!?」と言いたいんですよ。それが言いたくて、一生懸命、一生懸命説明しているということなので、負けた時があったとしても、その放銃の意味であるとか、その負け方の意味が伝わらないよね、と思ったら永遠にしゃべりたいです、分かってもらえるまで。毎回、そう思っているので、尺が足りなくなるんですよね。可能であれば、もっとしゃべりたい。 ―瑞原選手とのカイロの貸し借りが話題になった。Mリーグカイロの発売はどうか。 園田 Mリーグカイロの発売はいいと思います。いいと思いますが、そもそも、あの時はたまたま、本当に寒かっただけであって(笑)。でも寒いというのが申し訳なくて。他のチームの方は長ズボンを履いたり、黒いインナーを着たりして体温調整をしていますが、僕とたろうさんは基本、夏みたいな格好、短パンに素足で素腕。それで寒いという権利はないな、と思っています。「カイロの前に服を着ろよ」と思われるんじゃないかな、と思っています。 ―ガジェット好きと聞いた。目指すところはスマートホームを達成。進捗状況はどうか。 園田 朝11時になるとカーテンが自動で開いて、リビングと寝室のブラインドも開いて、電気が付いて、音楽が鳴り始めて、自動でABEMAが付いて、みたいな感じです。電気を消すのも全部音声です。YouTubeのスタジオも兼ねているので、いろいろな方が来ますが、うちに来たら、トイレとかを含めて「絶対にスイッチは押さないでくれ」と。人が来てスイッチを押してしまうと、一旦オフになるから、スマートホームが効かなくなるんですよ。 だから、うちではスイッチは一切、使わないところまで来ました。既存のデバイスを使ったスマートホームはだいぶ進んで来たので、ここからはラズパイ(ラズベリーパイ)を使ってのIoT(Internet of Things)の何かしらを開発して、朝、起きたら勝手にスイッチが押されてコーヒーが作られるとか、そこまで夢が広がっています。 ―その先の未来には何がある。足りないものはあるのか。 園田 相当、快適になってしまったんですよね。こういうのはたぶん男の子的な感覚だと思いますが、ミニ四駆って走らせこと自体も楽しいと思うんですけど、でも「どうやったら、もっと速く」と思いながらいろいろと調整して作っている過程の方が楽しいんです。だから、僕はたぶん、スマートホーム化をした未来にスコープが上がっているのではなくて、スマートホーム化して、いろいろ工夫して快適な空間を作るという過程が楽しいんだと思います。そこを楽しんでいるだけだと思います。 ◆Mリーグ 2018年に全7チームで発足し、2019-20シーズンから全8チーム、2023-24シーズンからは全9チームに。各チーム、男女混成の4人で構成されレギュラーシーズン各96試合(全216試合)を戦い、上位6チームがセミファイナルシリーズに進出。各チーム20試合(全30試合)を戦い、さらに上位4チームがファイナルシリーズ(16試合)に進み優勝を争う。優勝賞金は5000万円。 (ABEMA/麻雀チャンネルより)
ABEMA TIMES編集部