【JJドラマ部】2023年最高に面白かった地上波ドラマBEST10発表!|JJ
2023年も残すところあと少し。『VIVANT』をはじめ今年話題だったドラマの中から、ドラマオタクのコラムニスト・小林久乃と元JJ編集長イマイズミの二人がベスト10を選びました! あなたが好きだったドラマはランキングされていますか? 『ブラッシュアップライフ』(日本テレビ)公式ホームページより
2023年ドラマオタクが選ぶBEST10を発表!
【コラムニスト小林久乃が選ぶ2023年ドラマBEST⑩】 ①『だが、情熱はある』(日曜22時30分/日本テレビ系) ②『ばらかもん』(水曜22時/フジテレビ系) ③『わたしの一番最悪なともだち』(月-木22時45分/NHK総合) ④『コタツがない家』(水曜22時/日本テレビ系) ⑤『リバーサルオーケストラ』(水曜22時/日本テレビ系) ⑥『きのう何食べた?シーズン2』(金曜24時12分/テレビ東京系) ⑦『ブラッシュアップライフ』(日曜22時30分/日本テレビ系) ⑧『マイ・セカンド・アオハル』(火曜22時/TBS系) ⑨『星降る夜に』(火曜21時/テレビ朝日系) ⑩『ブギウギ』(月-金8時/NHK総合) 【元JJ編集長イマイズミが選ぶ2023年ドラマBEST⑩】 ①『ブラッシュアップライフ』 ②『だが、情熱はある』 ③『VIVANT』(日曜21時/TBS系) ④『わたしの一番最悪なともだち』 ⑤『ブギウギ』 ⑥『下剋上球児』(日曜21時/TBS系) ⑦『ハヤブサ消防団』(木曜21時/テレビ朝日系) ⑧『パリピ孔明』(水曜22時/フジテレビ系) ⑨『コタツがない家』 ⑩『こっち向いてよ向井くん』(水曜22時/日本テレビ系) ◆ドラマオタクが選んだ第1位は『だが、情熱はある』と『ブラッシュアップライフ』 元JJ編集長イマイズミ(以下イマ):今年もいよいよ終わりに近づいていますが、2023年のBESTドラマをそれぞれ10本ずつ選んでみましょう! 小林久乃(以下小林):年末っぽいですよねー。おお、10本中、半分は同じドラマを選びましたね。 イマ:順位はだいぶ違いますが、私の2023年No.1ドラマは『ブラッシュアップライフ』で揺るぎないです。毎週2回ずつ見返していましたし、頭の中を整理するためにあの4人の年表を書いたぐらいハマりました。 久乃:私も7位に選びましたけど、やっぱりバカリズムの脚本が素晴らしかったですね。 イマ:彼の脚本作品で『架空OL日記』(2017年/読売テレビ)という、バカリズムが24歳OLを演じるイカれた設定のドラマがあって、その女同士の会話がやたらリアリティーあったんですけど、ちゃんとこの『ブラッシュアップライフ』に繋がってくるんだなと。 小林:たしかに会話の内容とか、どう考えても頭の中にOLが住んでるとしか思えない(笑)。 イマ:テレビで「若い頃、女子の考えてることを知りたすぎてポップティーンを買ってた」って言ってましたから、たぶんその頃からじっくり育てていたんでしょう(笑)。 小林:いわゆるタイムリープものだけど、ルールや構造がシンプルで分かりやすかった。人生の回数ごとに主人公たちの服の色が変わってたし。あと、あの4人の人生が結婚や出産というループにハマらず、女の熱い友情っていうところにフォーカスしたのも新しかったですね。 イマ:シール交換、プリクラ、ラウンドワン、荒れる成人式と、あの世代の共感を呼ぶ仕掛けも満載でした。そして、「加藤の粉雪」!〈※近藤麻美(安藤サクラ)の初恋の人・加藤直人(宮下雄也)がレミオロメン『粉雪』を熱唱するシーンで話題に〉 小林:トレンドワード入りしてましたよね(笑)。 イマ:ああいう小ネタがネタで終わらずに、ちゃんとストーリーの中で効いてくるのも巧みな脚本だったなと。お正月にやる、バカリズム脚本・『ブラッシュアップライフ』製作チームのスペシャルドラマ『侵入者たちの晩餐』(1月3日21時/日本テレビ系)も楽しみで仕方ない! そして、小林さんのNo.1は『だが、情熱はある』ですね。私も2位に選びました。 小林:このドラマ、後半にいくにつれてどんどん盛り上がっていく流れが良かったです。最初は若林役の髙橋海人くんも、山ちゃん役の森本慎太郎くんもあんまり似てなかったんだけど、途中から憑依してる?ってくらい、だんだん本人みたいになってきて。 イマ:そうそう、二人とも本来カッコいいはずなのに、全然カッコよく見えなくて(笑)。 小林:若林がなんかうまくいかなくてケーキを窓に投げつけるシーンとかめちゃくちゃカッコ悪くて、ああ、これぞ青春!って感じで熱くなりました。 イマ:主題歌の『こっから』(SixTONES)のモヤモヤをぶっ壊すような歌詞や疾走感もドラマに合ってましたね。2023年ドラマ主題歌賞をあげたいくらい。 ◆今年話題だった『VIVANT』よりNHKの夜ドラ枠に注目 小林:ところでイマイズミさん、『ばらかもん』が入ってませんが? イマ:え、個人的に全然引っ掛かりませんでした(笑)。 小林:…この夏、私たぶん疲れてたんですよ。 イマ:何ですか、唐突に。 小林:夏の記録的な暑さにもやられてたっていうのもあるんですけど、そんな中で一服の清涼剤のようなドラマでした。都会で挫折して田舎で一人暮らしを始める半田清舟(杉野遥亮)が主人公で、彼をサポートする五島の人々の温かさに毎回癒されていました。特に子役たちが良かった。私自身、仕事で行き詰っていたことも、このドラマを観て解決することも多かったし。 イマ:おお、人生変えられてますね。小林さんのバイオリズムにバシッと合ったんでしょうね。逆に聞きたいんですけど、『VIVANT』が入ってませんが?(笑) 小林:まあ、たしかに今年一番話題のドラマといえば『VIVANT』ですね。2023ユーキャン新語・流行語大賞に「別班/VIVANT」が入ってましたし。 イマ:圧倒的なスケール感、豪華な俳優陣、そして斬新なプロモーションと、どこをとっても日本のドラマ史上エポックメイキングな作品だと思います。 小林:普段ドラマを観ない層にも届いてましたね。最終回直前に特番を流すのも久しぶりな感じでした。昔は『ラブジェネレーション』(1997年/フジテレビ系)の最終回の日に昼から特番やってましたから。 イマ:ふるっ(笑)。まあ、あれはドラマが盛り上がってた時代ですもんね。今だと考えられない。 小林:これだけ話題になったんだから、続編やりますよね? イマ:あのキャストを再び集めるのは何年後になることやら。Netflixあたりが大枚はたいて強引にやってくれないかしら…。そして、私が4位で小林さんが3位にあげたのは『わたしの一番最悪なともだち』。兵頭るりさんの脚本がとにかくフレッシュでした。兵頭さん、お茶の水女子大学理学部数学科を中退してから東京藝術大学の大学院で脚本を学び直すという異色の経歴です。 小林:たぶん20代なんだろうけど、言葉の選びに今どきの若者のリアルを感じます。同世代の子たちは共感するだろうな。 イマ:就活がオンラインだったり、外出するときマスクをしてたり、コロナ時代ならではのシーンにも、若い脚本家にしか書けないリアリティーがありましたね。あと、このドラマで主人公・笠松ほたる(蒔田彩珠)の同級生・鍵谷美晴を演じた髙石あかりちゃんが素晴らしかったので、今後も注目していきたいです。 ◆久々のホームドラマから朝ドラまでバラエティー豊かなラインナップ 小林:かぶったとドラマといえば『コタツがない家』は私が4位でイマイズミさんが9位でしたね。これも初回から後半に向かってどんどん面白くなっていくタイプのドラマです。 イマ:見どころは、ほぼ家の中で繰り広げられる会話劇なんですが、このセリフを言わせたいがためのセリフじゃなくて、ちゃんとそのキャラクターが言いそうなセリフでキャッチボールしてるから、聞いてて引き込まれるんですよね。 小林:脚本の金子茂樹さんも素晴らしいけど、演者も凄い。特に吉岡秀隆!『北の国から』(1981年/フジテレビ系)の純以来のクズ男役を見事に演じてます(笑)。 イマ:彼の言ってること、わかる部分もあってなんだか居心地悪くなるんですよね…。私は息子・順基役の作間龍斗くんに注目です。あのベテラン俳優の中に入っても堂々と演じてるの、凄くないですか? 『どうする家康』(NHK総合)で豊臣秀頼もやってるし、来年もっと活躍しそう。 小林:最近、ダメ夫にデキる妻という構図のドラマが多いですよね。『ゆりあ先生の赤い糸』(木曜21時/テレビ朝日)もそう。女がなんでもこなすことを肯定するストーリーに共感します。いいんですよ、デキる人がやれば。 イマ:昭和みたいな、常に夫が大黒柱であれっていうのも正直しんどいから、こういう世の中の流れは大歓迎です(笑)。 イマ:小林さんは5位に入れてましたけど、私もランキングに入れるかどうかすっごく迷ったのが『リバーサルオーケストラ』。 小林:問題を抱えた団員たちが、それぞれ解決しながら大団円に向かって盛り上がっていく展開に目が離せませんでした。田中圭の指揮者役は当たり役だと思います。 イマ:生瀬勝久、岡部たかし、平田満、濱田マリら、ベテラン俳優たちも輝いていました。ちなみに、『ブラッシュアップライフ』で麻美(安藤サクラ)は『リバーサルオーケストラ』撮影中の前野智哉のせいで死んじゃってます(笑)。 小林:あれはどちらのドラマもチーフプロデューサーが同じだったからできた仕掛けですね。そして、イマイズミさんの5位は『ブギウギ』ですね、私も10位に入れました。 イマ:前期の『らんまん』(2023年/NHK総合)も悪くなかったけど、ビッグバンドを従えて歌う趣里ちゃん(福来スズ子役)を見ちゃうとやっぱり華やかだし、毎朝楽しい気分になります。残念ながら植物がテーマじゃ盛り上がらない(笑)。 小林:趣里ちゃんのエネルギッシュな歌とコミカルな演技に自然と惹かれていきます。そして、蒼井優、水川あさみ、草彅剛、菊地凛子とパンチのある役者が次々出てくるから、観てて飽きないですよね。 イマ:六郎役の黒崎煌代くんは菅田将暉が出始めた時ぐらいのスケール感を感じました。 小林:レプロエンタテインメント主催の『主役オーディション』で約5000人の中から選ばれて、この『ブギウギ』が俳優デビュー作だそう。末恐ろしいですね…。 イマ:趣里ちゃんはこの後、どんなドラマに出るのか興味深いですよね。 小林久乃(こばやし・ひさの)コラムニスト、編集者。正々堂々の独身。中学生から地上波ドラマを愛して30年以上、筋金入りのオタク。好きが高じてついには『ベスト・オブ・平成ドラマ!』(青春出版社刊)を上梓した。ラブストーリーが好きで、特に禁断の恋がテーマとなると視聴熱が俄然、盛り上がる。 元JJ編集長イマイズミ 女性誌『CLASSY.』『JJ』の編集長を歴任。1クールの地上波ドラマを全録画するようになったのは、編集長になった13年ほど前から。「仕事で新しい俳優、タレントさんを覚えるため」というのが理由だったけど、見事に大ハマり。ホームドラマとラブコメ好き。韓国ドラマもやや中毒。 イラスト/lala nitta