【フィンランド】国を挙げてのスタートアップイベントSLUSHとは
世界中の投資家とスタートアップを結び、将来のユニコーン企業を生み出す
その中で最も広い場所を占めるのが投資家ラウンジで、SLUSHの目的の一つは世界中の投資家とスタートアップを結び、将来のユニコーン企業を生み出すことだ。フィンランドにはNokiaという世界に知られたブランドがあり、現在その勢いは衰えたものの、Nokiaで磨いた技術を資本として新しい企業が次々に生まれつつある。中には今年AMDに買収された欧州最大のスタートアップAI企業、Silo AIのようにまさに世界を驚かす会社も少なくない。 グーグルのようなジャイアントがSLUSHに出展する目的もまさにそこにある。グーグルにはスタートアップ部門があり、常に自社にとって有利になる技術を持つスタートアップの掘り起こしに注力しているのだ。 参加者は事前にSLUSHのウェブサイトに個人情報(興味のある業界、会いたい人物)などを登録し、参加企業はその情報から個別にメールなどで連絡を取り、会場でのアポイントメントを設定する。そのための「ワン・オン・ワン」という待ち合わせスペースも用意されており、「理念を語るのではなくまずは会話から」という姿勢が貫かれている。 日本ではあまり知られていないイベントではあるが、欧州での知名度は高く毎年数万人が集まるフィンランドの初冬の風物詩ともなっているSLUSH。ここから世界にアピールする力を付ける企業も多く、日本からの投資も着実に増えつつある。
土方細秩子