美容室をオープンし、「井波を好きになってもらいたい」と話す吉原さん

　富山県南砺市井波地域で、空き店舗を改装した美容室がオープンした。経営するのは吉原新さん（３９）＝富山市下大久保・大沢野＝で、風情ある街並みに魅了されて独立の地に選んだ。「利用する人が井波を好きになってもらえるきっかけになりたい」と意気込んでいる。 　吉原さんは富山市岩瀬地区出身。高校卒業後、通信制の理容専門学校で学び、砺波、富山両市の美容室に勤めた。 　きっかけは２年前、井波地域の知人から同地域で店を持つよう勧められたこと。自身も訪れたことがあり、明かりに照らされた夜の街路や石畳の街並みが気に入っていた。ちょうど新規出店が相次ぎ、地域が活気づいていた点にも魅力を感じた。 　同地域中心部の本町通り沿いにあった元化粧品店を借り受けた。当時は富山市の店で働き、合間を縫って、昨年８月から１年間かけて準備を進めた。開業を支援する補助金も活用した。 　店名の「Ｒｏｉ（ロイ）」は「いろり」にちなみ、「誰もがだんらんできる店に」との思いを込めた。大沢野地域から井波地域に通うことになったが、負担は感じないという。

　「オープンした店を見せたかった」という母が、昨年１２月に亡くなった。母も井波地域が好きで、今回の決断を後押ししてくれた。「不安はあるが、井波で店を持つことを楽しみにしてくれていた母の分まで頑張りたい」と力を込めた。