埼玉・杉戸町の「うなぎの天丼」は実にクリーミー!…口の中にうま味と脂が広がります
日光街道の杉戸宿では、古利根川(ふるとねがわ)で取れた天然ウナギの稚魚を天ぷらにしていたという。その名残で埼玉県杉戸町の川魚料理店では、ウナギの成魚を天ぷらで味わえる。明治初期創業の老舗・高橋屋を訪ねた。
「うなぎの天丼」(1900円)には黄金色のウナギの天ぷらが2切れのっている。かぶりつくと小麦粉と溶き卵の衣が破れ、口の中にウナギのうま味と脂が広がる。味は淡泊なのに、「白焼きよりはコッテリ」という意外さが面白い。
4種類の「味変」が楽しめる
天丼は、4種類の「味変」が楽しめる。カツオだしの天つゆは定番の味。しょうゆとみりん、和三盆を150年つぎ足してきたタレは、なじみのあるかば焼きのようになる。サンショウを混ぜた塩は相性がよく、抹茶を混ぜた塩も味がひきたつ。次々と繰り出される味の変化球に心が躍る。
150本以上の小骨が全てピンセットで抜き取られている身はクリーミーな舌触りで、かみしめるとすぐに身が消える。骨を失った身は崩れやすいため、蒸した後に酒を少し垂らす前処理が施されている。揚げ油は米油を使い、オリーブオイルを加えているという。
29歳で4代目を継いだ高橋明宏さん(46)は「おいしいと言ってもらえるように東京都内の名店の調理方法をまねしたが、難しくて2、3年は試行錯誤だった」と明かす。
こちらもオススメ…特上うな重御膳
「肝のお吸い物」(400円)は、利尻昆布をじっくりと煮出した甘みが奥深い。肝は1匹分が丸ごと入れられ、プリプリの食感を堪能できる。店の一押し「特上うな重御膳」(4900円)は、冷めてもうまい。時間がたつと、身の滑らかな食感が際立つ。
高橋さんは知り合いの紹介で歌舞伎界にも顧客の輪を広げた。2021年には東京・銀座の歌舞伎座近くに出店。「100年先も続く店にしたい」と意気込んでいる。
※税込み。記事中の値段などは紙面掲載時のものです。
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