AIとクラウドが仕事や業務の進め方を大きく変える--BoxのレヴィCEO
--他方で、ワークフローに着目したAIエージェント機能をITベンダー各社が投入してきています。BoxのAIエージェントは、それらと競争関係になるのでしょうか。 良い質問です。Boxのプラットフォームはクラウドにあります。また、あらゆるクラウドが相互に連携しています。(Boxと協業する)SalesforceやZoom、また、さまざまなクラウドベンダーがあり、これらのクラウドは全てAIモデルを持つようになり、ワークフローを自動化する方法を提供しつつあります。Boxには、こうしたクラウド各社のAIエージェントと“会話”するAIエージェントがあります。 これらはクラウドのAIモデルと対話します。AIシステム同士の相互運用性が高まり、それらが連携してビジネスを実行するようになっていくでしょう。ビジネス上の意思決定やワークフローの自動化を実行するため、AIのエージェントが連携していきます。 --今回のBoxWorks 2024でも多数のAI関連ソリューションを発表しましたが、どれが一番重要ですか。 今回の発表の中で私が一番にエキサイティングだと感じているのは、「Box Apps」ですね。これは、ノーコードのアプリケーションです。契約管理やデジタルの資産管理、請求書処理、といったようなユースケースを全てBox Appsで実現できるようになります。どのようなAIアプリケーションが登場するのかがとても楽しみです。 --ただ、ローコード/ノーコード開発のソリューションも多くのベンダーが展開しています。どう差別化しますか。 Boxが着目しているのは、コンテンツを起点とするワークフローとビジネスプロセスだけです。他社と競合するとは思いません。Boxが重点に置いているのは、コンテンツ指向のワークフローであり、繰り返しますが、契約書の管理、デジタル資産の管理、請求書処理といったユースケースなのです。 ワークフローを自動化していくという発表は、お客さまにとって非常に革新的なことになると思います。しかし同時に、どうビジネスプロセスに入っていくのかという、疑問もあるでしょう。ここでは、既に保有している膨大なデータとそのメタデータが強力なアドバンテージになります。プロセスの自動化はもっと進んでいくでしょう。 ドキュメントからメタデータを抽出し、ワークフローを自動化していきます。例えば、契約書の中にある全てのデータ、更新の費用、当事者の名前といったものを想像してみてください。それらをメタデータとして取り出し、データベースに入力し、ワークフローを自動化することができます。これは、AIとワークフロー自動化の本当のパワーです。 --AIに関するデータのプライバシーやセキュリティなどの懸念を理由に、パブリッククラウドではなくオンプレミスに回帰する動きも見られます。この兆候はクラウド企業としてのBoxのビジネスに影響しますか。 ある意味クラウドは止められないものだと思います。その理由は、データがクラウド上にあるほど、より多くの機能を提供できるからです。クラウドによって、より安くより安全にすることができるのです。より多くのデータを拡張できますから、クラウドはなくならないものでしょう。そして、クラウドの重要性もさらに高まっていくと思います。 私たちBoxに何があるのかを考えてみると、私が分かることは、クラウドのテクノロジーの未来だけなのです。私たちの(SaaSの)業界はこのようなものなのです。クラウドは優れたテクノロジープラットフォームであり、コンピューティングを分散させる代わりに、クラスタリングすることでより高い効率を得ることができます。クラウドは、優れたテクノロジープラットフォームなのです。 そして、SaaSとして新しいソフトウェアを構築するたびに、そのソフトウェアの能力を即座に全ての顧客に展開することが可能です。企業が自分たちのソフトウェアを管理していたのでは、そのようなことはできません。だからこそ、クラウドは優れたテクノロジーアーキテクチャーだと思います。 --Boxにとって日本市場は第2位の規模のビジネスだと聞きます。その要因は何でしょうか。また、これから日本市場をどう展望しますか。 幸運にも日本には素晴らしいチームがあります。日本に進出した日からすぐに素晴らしいチームが立ち上がり、非常に早い段階から素晴らしいパートナーに恵まれました。そして、日本がクラウドテクノロジーを採用するという非常に重要な成長サイクルのスタートにタイミングが合致しました。それが日本での大きな成長につながったと思います。日本の将来への期待、それは成長し続けることです。日本企業にAIを提供し、日本で成長し続けることです。 (取材協力:Box Japan)