『碁盤斬り』 草彅剛 × 清原果耶、武士の尊厳と親子の絆を描いたリベンジ・エンタテインメント
【Tokyo cinema cloud X by 八雲ふみね 第1179回】 シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信する「Tokyo cinema cloud X(トーキョー シネマ クラウド エックス)」。 【写真全16枚】圧倒的なカリスマ性を発揮する草彅剛 ほか 今回は5月17日公開の『碁盤斬り』と『ミッシング』をご紹介します。
『碁盤斬り』 草彅剛が体現する、武士の矜持
人々に長く親しまれてきた古典落語の演目「柳田格之進」。囲碁を巡る人情噺をベースに新たな物語として誕生したのが、本格時代劇映画『碁盤斬り』。手がけたのは、本作が自身初の時代劇となった白石和彌監督。武士の誇り、そして親子の情愛を描いたリベンジ・エンタテインメントです。
『碁盤斬り』のあらすじ
身に覚えのない罪をきせられたうえ、妻も失ってしまった浪人・柳田格之進。今では故郷の彦根藩を離れて、娘のお絹と2人で江戸の貧乏長屋で暮らしている。 格之進がかねてから嗜んでいるのは、囲碁。碁の打ち方には格之進の実直な性格が表れており、どんな時も嘘偽りない勝負を心がけていた。 ある日、格之進とお絹は旧知の藩士から、かつて起こった冤罪事件の真相を知らされる。2人は復讐を決意するが……。
『碁盤斬り』のみどころ
主人公・柳田格之進を演じたのは、『ミッドナイトスワン』で第44回日本アカデミー賞最優秀男優賞を受賞した草彅剛。碁を打つ姿は指先まで美しく、その凛々しさには思わずうっとり。圧倒的なカリスマ性を発揮しています。 そして格之進の娘・お絹役には、清原果耶。父親思いで芯の強さを内に秘めた女性を、確かな演技力で体現。草彅剛と共に紡ぎ出す親子の絆に、心を動かされる人も多いことでしょう。 共演には中川大志、奥野瑛太、音尾琢真、市村正親、斎藤工、小泉今日子、國村隼など、若手からベテランまで豪華な顔ぶれが集結。 疑心と陰謀が渦巻く復讐劇が繰り広げられます。
リベンジものとしてはもちろん、アクション映画としてもサスペンスとしても楽しめる本作。古典落語をこれほどまでにオリジナリティあふれるエンタテインメントへと昇華させた、加藤正人氏の脚本力と白石和彌監督の演出力には驚かされるばかりです。既視感のない斬新な時代劇。その世界観をスクリーンでじっくりと堪能して。