A型事業所、5カ月で障害者4279人解雇 厚労省集計、経営難などが影響
厚生労働省は、就労継続支援A型事業所で働く障害者が3月から7月の5カ月間で4279人解雇されたとの集計結果を公表した。経営難で事業所が閉鎖したためとみられる。同期間に一般企業なども含めて解雇された障害者は4884人。昨年度1年間の2407人と比べると、半分以下の期間で倍増した。 集計結果は14日のこども家庭庁との合同会議で報告された。A型事業所の大量閉鎖、解雇があったとの一部報道を受け、8月末に厚労大臣が状況を把握し対応するよう指示していた。 厚労省は毎年度解雇された障害者数を把握しているが、A型事業所に絞って集計するのは初めて。集計は10人以上解雇したA型事業所が対象のため、10人未満も含めると解雇された障害者はもっと多い可能性がある。 解雇された4279人のうち、8月末時点で再就職(A型事業所含む)したのは936人、B型事業所に移行(予定含む)したのは2073人で、合わせると全体の7割。2割強は求職中だった。 解雇はA型事業所が経営難で閉鎖したためとされる。4月の障害福祉報酬改定で利用者に支払う賃金が低いと報酬も低くなる見直しがあったことや、最低賃金、物価上昇などが影響したとみられる。 ■経営支援策を検討 A型事業所をめぐっては、昨年3月時点で生産活動による収支から利用者の賃金を支払うという指定基準を満たしていない事業所が51%に上ることが分かっている。満たさない場合、経営改善計画書を提出して取り組むことになっているが、状況は改善していない。 合同会議の委員からは、経営改善計画書の提出が必要なA型事業所への対応や、書類がそろっていれば事業所指定をする自治体の対応の見直しを求める意見があった。 厚労省は今後、A型事業所の経営支援について具体的な対応策を検討する。今年度の委託事業で自治体の事業所指定の在り方についても検証を進めている。