もしも、息子と優勝争い 父ならどうする? 増田伸洋の場合
◇国内シニアメジャー◇日本プロゴルフシニア選手権大会 TSUBURAYA FIELDS HOLDINGS ULTRAMAN CUP 初日(3日)◇イーグルポイントGC(茨城)◇7102yd(パー72) 【画像】2006年、父は勝った 水を向けられ、「それは、いいからぁ!」と照れながら話を遮ったのは一瞬だった。51歳の増田伸洋が国内シニアメジャーで首位発進を決めたこの日、西に480㎞離れた先では愛息がスタートラインに立っていた。長男の増田康輔(21歳)がレギュラーツアー「ACNチャンピオンシップ」に出場。プロデビュー戦を迎えた息子のことが、父はどうにも気になる。 過去にツアーでキャディを任せたこともある長男は、千葉県の平川CCに所属して腕を磨く。今朝は「思い切ってやって来い」とスマホにメッセージを送ってから、自らもティオフ。「めちゃくちゃ緊張してんじゃないかな」と思いをはせつつ、できる限りのサポートもしてきた。レギュラー時代に長くコンビを組んだ坂井恵キャディを“派遣”して帯同をお願い。「まさか父子のキャディをするとは思わなかった…」と驚かれた。
康輔は2021年の初挑戦からツアーの予選会突破経験がまだなく、今回は主催者推薦で初出場にこぎつけた。父は「とりあえずデビュー戦だから。予選を通って来いよ、なんて言わない。まだ“底辺”の方の実力だから」と厳しい。 「それでも得るものは絶対にある。(周りのプロが)どういう練習をしていたとか、雰囲気とか。いろんなものを吸収して帰ってきてくれればいい。一生懸命やって、ダメならダメでいいわけだから」。同じ道を選んだ先輩の言葉はきっと重い。 ゴルフは家族でプレーできる生涯スポーツ。親子どころか、3世代が一緒にラウンドしても不思議ではない。ただそれが、プロツアーでできるか、というと可能性は限りなく低い。日本ツアーでは杉原輝雄&敏一、尾崎将司&智春、中嶋常幸&中島マサオといった父子が実現。増田も「本当はね、同じフィールドにもし立てたら…」という夢を描く。 では、もしも同じ組で2人が1つのタイトルを奪い合うシチュエーションに遭遇したらどうだろう? 「優勝争いしたら、それはやっぱり…」。逡巡するのも一瞬。「やるよ、オレは」。いくら息子でも、まだ譲れないものがあるらしい。(茨城県阿見町/桂川洋一)