「好き」をとことん、どの子も特別扱い フリースクールの日常(下)
フリースクール「YES(イエス)インターナショナルスクール東京校」の特徴の一つがブラジルの格闘技カポエイラの講座です。スペシャリストである中嶋祐治先生のダイナミックな動きとともに、子どもたちが汗をかくまで動きました。体を支えるブリッジを片手でしてみたり、回転してから、足を高く蹴り上げたりしますが、相手を傷つけずに、相手との間合いを楽しむのだといいます。 ◇◇◇
先生のお手本の後、子どもたちが思い思いに動くと、先生は正確にまねることや強さを求めるのではなく、その子なりの特徴をとらえて声をかけます。多少おぼつかず、ゆったりと動く女子児童には、「足の着地でドンと音がしないで静かだね。音を出さないってなかなか難しいんだよ」と言い、その子は嬉しそうにしていました。 このカポエイラで軽快な動きを見せた男子児童がいました。彼は、日頃、にこにこしながら、ティッシュやチラシなど身近な素材で色々なものを作っていて、静電気にも興味津々。 お母さんによると、ある障害の影響からか、以前は、自信を失い、食事もとれないほど落ち込んでいたそうですが、ここに通いだしてから、家でも明るくなり、本もたくさん読むようになったそうです。お母さんは「自分のペースでいい、これでいいんだという安心感、自由だからこそ、発想が豊かにわき上がってくる感じですよね」と話していました。
小正先生の「気になる最新科学」は、パソコンでゲームをしながらの参加やまんがを読んでいても怒られません。ここに来る子どもの中には、マルチタスク、つまり、オンラインゲームをしながら、先生の話を聞き、ほかのこともやるなど、同時にいくつかのことをやり遂げる特徴を持った子もいるということです。さきほど紹介した卒業生円舞くんもそうだったといいます。また、一見、興味がなさそうでも、この部屋にいるということは、いくらか関心があり、実は話を聞いている場合もあるといいます。 部屋の後方でまんがをよんでいた小学6年生のある男子児童は、途中でまんがを置いて前の方に座りに来ました。そして気がつくと、小正先生のすぐ前に移動し、次々に質問を繰り出していました。