魚で求婚、砂利で子育て!絶滅危惧種のユニークな生態を“クッキー”で発信
観察を続けていると、メスの周りをクルクルとまわるオスの姿を発見。「逃げられてるのかな?クルクル回ってる」と話す栗田さん。その様子を見て、「(オスがメスに)逃げられてますね。もっと大きな魚持ってきなさいよって言ってるのかもしれない」と、岸さんが冗談交じりに解説します。 諦めず、けなげに頑張るコアジサシの様子も観察することができた栗田さん。たくさん知識を仕入れて、どんなクッキーを作るのでしょうか。
砂利のクッキーで“伝えたいこと”とは?
「“砂利”はいきたいですよね~」と、栗田さんがこだわりをみせたのは“砂利”。コアジサシと砂利をセットで作り、伝えたいことがあるのだそう。
“伝えたいこと”のヒントは、25年前の映像にありました。超望遠レンズで撮影した、名古屋港の埋め立て地の様子。カップルとなったコアジサシが巣を構えていたのは、木の上ではなく「地面」です。
草木が少ない、砂利地に巣を作る習性があるコアジサシ。卵の殻は天敵に狙われないよう、砂利とそっくりの模様です。生まれたヒナも砂利と似たまだら模様。
しかし、そんな繁殖地は現在まったく砂利のない空間に。河川敷など自然の砂利地が少なくなっている今、コアジサシの頼みは工事予定地などの更地ですが、開発が進めば繁殖は続けられません。 「(砂利地で繁殖するように)進化してきたんですもんね。“砂利がないから子育てできない”ということにはできないですもんね」と、コアジサシを取り巻く環境を栗田さんは気にかけます。
“どうにか卵を育てたい”と、コアジサシは思わぬ場所に巣を作ることもあるそう。写真は、工事を待つ更地に実際に出来たコアジサシの巣。
白丸の部分に、コアジサシの巣があります。砂利に擬態しているからこそ、人が気付かずに踏み荒らしてしまう可能性もあるのです。『名古屋市野鳥観察館』の岸さんは、「普通の人は地面に卵とか巣があるって、考えないじゃないですか」と、上手く擬態するからこそ生じるリスクを心配します。 どんどんと数が減り、今は“絶滅危惧種”となってしまったコアジサシ。守っていくためには“砂利地を見かけたらコアジサシの巣があるかも”と知ってもらうことが必要です。