エルニーニョ監視速報 エルニーニョ現象は終息へ 春の間に平常になる可能性が高い
気象庁は、今日10日「エルニーニョ監視速報」を発表。昨年の春から続いているエルニーニョ現象は終息に向かい、春の間に平常の状態になる可能性が高くなりました(80%)。また、夏の間にラニーニャ現象が発生する可能性と平常の状態が続く可能性が同程度あるとのことです(50%)。
3月の実況
3月のエルニーニョ監視海域の海面水温の基準値からの差は+1.2℃で、2月に比べて0.6℃下がりました。 エルニーニョ現象発生の判断に使用している5か月移動平均値の1月の値は+2.0℃で、4月から10か月連続して+0.5℃以上となっていますが、12月までの最大の+2.2℃から下がり始めました。 太平洋赤道域の海面水温は中部を中心に平年より高くなりました。太平洋赤道域の海洋表層の水温は全域で平年より低くなりました。太平洋赤道域の日付変更線付近の対流活動は平年並みで、中部太平洋赤道域の大気下層の東風(貿易風)は平年と同程度でした。 このような海洋と大気の状態は、エルニーニョ現象時の特徴が弱まりつつあることを示しています。 以上から、昨年の春からエルニーニョ現象が続いていますが、終息に向かっています。
今後の見通し
実況では、太平洋赤道域に海洋表層の冷水が見られます。 大気海洋結合モデルは、冷水の東進が続き、エルニーニョ監視海域の海面水温が次第に下降して春の間に基準値に近づくと予測しています。 その後、太平洋赤道域の西部~中部で貿易風が強まるとともに、中部~東部の冷水がさらに強まり、夏の間はエルニーニョ監視海域の海面水温が基準値に近い値か基準値より低い値で推移すると予測しています。 以上から、今後春の間にエルニーニョ現象が終息して平常の状態になる可能性が高くなっています(80%)。その後、夏の間にラニーニャ現象が発生する可能性と平常の状態が続く可能性は同程度となっています(50%)。
西太平洋熱帯域及びインド洋熱帯域の状況
【西太平洋熱帯域】 3月の西太平洋熱帯域の海面水温は、基準値より低い値でした。今後、春の間は基準値に近い値で推移し、夏の間は基準値に近い値か基準値より高い値で推移すると予測されます。 【インド洋熱帯域】 3月のインド洋熱帯域の海面水温は、基準値より高い値でした。今後、春の間は基準値より高い値で推移し、その後、次第に基準値に近づくと予測されるます。