勝ち切った徳島市立が3連覇に王手!! 鳴門の粘りに遭うも最後は突き放す:徳島
[11.2 選手権徳島県予選準決勝 徳島市立高 4-2 鳴門高 徳島市民球技場メイン] 【写真】影山優佳さんが撮影した内田篤人氏が「神々しい」「全員惚れてまう」と絶賛の嵐 11月2日、第103回全国高校サッカー選手権の徳島県予選準決勝が開催され、徳島市立高が鳴門高と対戦。G大阪などでプレーし、徳島市立のOBでもある吉成浩司監督が率いる鳴門に苦戦しながらも攻撃陣がゴールを重ね、4-2のスコアで12年連続での決勝進出を果たし、3連覇に王手を掛けた。 台風21号から変わった温帯低気圧の影響を受け、強風が吹き荒れた準決勝。主将を務めるMF上田寛大(3年)がコンディション不良でベンチスタートとなるなか、風上に立った徳島市立は序盤から主導権を握った。4-4-2でスタートすると、最終ラインからボールを丁寧に動かしながらゴールをうかがっていく。右サイドハーフのMF原水智弘(3年)、左サイドハーフのMF芳田翠(1年)もスピードを生かして前へ運ぶが、FW鈴木悠哉(3年)とFW岡快吏(3年)の2トップにはボールが入らない。 前半の半ば以降は風に加えて雨脚が強まり、ピッチコンディションが悪化。中盤で思うようにボールが繋げなくなり、ボランチのMF山口凜太朗(3年)も良いタイミングで顔を出せなくなった。中途半端な場所でボールをロストするシーンが増えると、29分、CKの2次攻撃からMF山本永吉(3年)の右クロスをFW大津一彩(2年)に頭で決められ、鳴門に先制を許してしまう。 ペースを取り戻せないまま、前半は0-1で終了。徳島市立の河野博幸監督も選手たちのパフォーマンスに不満を口にした。 「相手がブロックを敷いて、守備的に戦ってくるのは分かっていた。じゃあ、どうするのか。結局は雰囲気や実際に立ってみないと分からないところがあったと思う。相手との距離感を掴めずに前半が終わってしまった。今年は受け身の子が多い点もあるので」 だが、悩んでいる時間はない。残された40分間で試合をひっくり返さなければならない。そうした状況下で立ち位置とゴールに向かう姿勢を修正した徳島市立は、後半の開始から攻撃のギアを上げていく。後半開始からボランチの位置に投入された上田がボール回しの軸となり、サイドに展開。空いたスペースをうまく活用しながら、相手陣内に入り込んだ。10分には、後半から左サイドハーフに投入されたMF牛尾律貴(2年)がアーリークロスを送ると、原水がファーサイドで合わせて同点に追い付く。これで流れを引き寄せると、19分には山口の左FKからCB好浦悠仁(3年)が頭で決めて逆転に成功した。 あとはリードを守りつつ、3点目を狙うだけ――。誰もがそう考えた矢先だった。2分後の21分、GK増谷羽竜(1年)と好浦の連携が乱れ、ルーズボールの処理をミスしてしまう。ここにプレスをかけてきた鳴門FW野田快晟(3年)に押し込まれ、再びスコアをタイに戻された。 だが、選手たちは慌てなかった。攻勢を掛けると、29分に上田の右CKからファーサイドに飛び込んだ好浦が、またしても得意のヘディングで自らのミスを取り返す勝ち越しゴールを奪う。これで試合の趨勢を決めた徳島市立は、32分にもエースストライカーの鈴木がMF岸大介(3年)のお膳立てから加点。最後までリードを守り切り、凱歌を揚げた。 今年は昨年のチームを知る鈴木、山口、上田、岡、原水らが中盤より前のポジションで残った一方で、守備陣は一新。左SB藤川琉偉(3年)以外は今季からポジションを掴んだ選手で、GKも1年生の増谷が務めている。不安視されていた部分もあったが、インターハイの初戦では昨冬の高校サッカー選手権で準優勝を果たした近江を3-1で撃破。2回戦で尚志に0-2で敗れたものの、その後の遠征ではプレミアリーグ勢と互角以上の戦いを演じて手応えを得た。プリンスリーグ四国でも2位に位置しており、優勝チームに与えられるプレミアリーグ参入プレーオフの出場権も射程圏内にある。順調にチーム力が高まって選手権予選を迎えていただけに、準決勝の試合運びには不満が残る。指揮官は言う。 「展開がもつれるのは構わない。ただ、失点だけはいけない。しかも、簡単に失っているので」 仮に相手にボールを持たれる展開になれば、攻撃陣の技術力とスプリント力を生かして一気にゴールを陥れられる。その一方で守備を固められると、崩し切れない課題は解消されていない。徳島商高との決勝も、攻撃の時間が長くなることが予想される。9日の決勝までに課題を突き詰められるか。全国大会での躍進を目指すためにも、“徳島の雄”は現状に満足せずに3連覇に向けて歩みを進めていく。 (取材・文 松尾祐希)