イランによるイスラエル空襲で中東地域の緊張が高まり、国際原油価格の不確実性が大きくなっている。くわえて米国港湾労組までストライキに入り、韓国輸出企業に対して輸送コスト・油類費などの負担が重くのしかかりそうだ。 イランがイスラエルに対して弾道ミサイルを発射し、イスラエルも報復攻撃を暗示したことを受けて、全世界の企業が中東戦争勃発の可能性に注目している。米国経済メディアＣＮＢＣは１日（現地時間）、リサーチ会社「ＭＳＴ　Ｍａｒｑｕｅｅ」エネルギー分野の首席アナリストであるサウル・カボニック（Ｓａｕｌ　Ｋａｖｏｎｉｃ）氏の言葉を引用し、中東紛争の拡大で石油供給に支障が発生する状況だと分析した。カボニック氏は「全世界の石油供給の最大４％（イラン関連原油量）が危険に直面しているとみなければならない」としながら「追加攻撃や制裁強化時に、国際原油価格は１バレル１００ドルまで再び高騰する可能性がある」と展望した。 最近、国際原油価格は下落傾向を示していたが、イランのイスラエル攻撃以降、再び上昇に転じた。２日（現地時間）、ニューヨーク商品取引所で１１月引渡分の西部テキサス産原油（ＷＴＩ）の終値は前日比０．２７ドル（０．３８％）高となる１バレル７０．１０ドルだった。英国ブレント原油の終値も０．３４ドル（０．４６％）高となる７３．９０ドルだった。 イランとイスラエルの全面戦争に対する懸念が高まり、前日には取引中に一時上昇幅が５％を上回る場面もあった。 国際原油価格の上昇は企業にとっては負担となる。原油輸送路であるホルムズ海峡が武力衝突で封鎖される場合、輸送コストの増加につながりかねないからだ。これ以外にも、中東地域内の緊張が長期化すれば、エジプトおよび東欧に位置した韓国企業の家電・石油化学・バッテリー生産工場に部品を供給するコストが上昇する場合もある。 悪材料はまだある。米国港湾労組が１日０時（現地時間）から米東南部海岸地域の湾口３０カ所以上で全面ストライキに突入した。２万５０００人が一斉に作業の手を止め、ニューヨーク、ボストン、ボルティモア、ヒューストン、アラバマ港など米国主要港の運営が中断された。東南部海岸全域にわたるストライキは１９７７年以降４７年ぶりだ。今回のストライキで米国全体港湾物流量の約４１％が影響を受けるものと予想される。ストライキの影響で韓国最大の国籍船会社ＨＭＭをはじめ海運会社は運賃引上げを対応カードとして出した。 家電業界から懸念の声が高まっている。サムスン電子の場合、すでに上半期だけで輸送費として１兆３６１５億ウォン（約１５００億円）を支出、昨年同期間と比べて６３％増加した。２０２０年と２０２１年に２兆ウォン台だった輸送費はコロナ禍の影響で２０２２年３兆２１４３億ウォンまで上昇した。